6日(金)、森敦の『月山』を一気読みした。
一気に読めたということは、言い換えればそれなりに面白かったということになろうか、年齢が半分くらいだった頃手に取った折とは大分違った感触だったということになる。
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森敦が、なんと62歳時に第70回芥川賞を受賞した作品で、いっぱい出てくる山形の方言は理解しづらいけれど、文章の流れからしたらおおよその見当はつく。

月山と言えば出羽三山に鳥海山が思い浮かび、JRの寝台列車“日本海”に揺られて秋田・山形を訪ねた昔を思い出す。 “日本海”は寝てうちに秋田に着く、大変便利な列車だったから、愛用者も多かったのに廃止、儲かる新幹線に乗れというJRのけしからぬ手である。

確か湯殿山には、今でも即身仏となった上人が祀られておるはずだから、小説「月山」にもミイラが登場して、宗教色というより現実と異界を行ったり来たりするような場面が各所にある。

そんなのは別として、深い雪に覆い尽くされた冬と、花々が一斉に咲き始める春との対比も描かれていて、こんなのは実際に月山の破寺で過した森敦だからこその文章でなかなかのものだ。

若い時分には難しい本だと思ってたのに、今読み返せば方言以外に理解困難な部分は少ないし、異界との融合も面白いではないか。  当時はあの世のことなどに関心持てなかった上に、ある意味淡々と進むストーリーに気乗りしなかったのかも知れない。

ひとつ、巻頭にある「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん」なる論語?の一節は余分かなという感想をもったのだが、62歳という作者の年齢からしたら許せるのかな・・・

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