西行に関する読み物は沢山あり、過去2~3は読んでいる。
そしてNHKの大河小説「清盛」にも西行が登場してくる。
しかし私はここ20年以上も、殆どTV番組は見ていないから、「清盛」の中の西行がどんな形で振る舞っているのか全然知らない。
今回読んだのは嵐山光三郎の『西行と清盛』で、もう20年以上も前に出版された小説。この作家の本を読むのは多分初めてだろう。
西行と言えば、すっきり俗世間から身を引き世を捨て、片手に和歌、もう一方に仏道を携えて放浪した詠み人との印象を受けるのだが、嵐山光三郎は「なんのなんの」と言う。

もともと西行は清盛とともに、天皇の身辺を警護する北面の武士であったから、天皇や上皇に加え藤原摂関家にも極めて近い存在だったのに間違いなく、あの複雑に絡みついた政略の中に身を置き続けておれば、自身の破滅へと追いやられる危険性は十二分に高かった。
つまり西行の出家も天皇やその取り巻き達の出家も、一種の政治的な謀略或いは逃避の手段であった訳だ。
藤原摂関家内部の確執・源平一族内の対立・天皇と上皇の反目の中で、起こるべくして起こった保元の乱に平治の乱・・・
そんな乱世の中、警戒を怠らず生き延びたのが西行だった。