金網に、勢いよくヤブガラシ(ブドウ科)が絡み始めた。
「薮枯らし」、薮の上へ覆い被さるように生育するので、薮をも枯らすつる性の植物だ。

葉は5個の小葉からなる鳥足状複葉で、互生している。

蕾。砂糖菓子のよう、なんとはなく親しみの持てる姿だ。ただし雑草としては強靭で、根っこごと駆除せねばお話にならない。

そろそろ花の季節で、例年ならこれが咲くと梅雨入りになる。
緑の花弁4個・雄しべ4個・中央に黄色い雌しべ1個で、オレンジ色した花盤(花托)をもつ数mmの小さな花。

花の初め、雌しべは背丈が低い。暫らくして雄しべと花弁が落ちると花柱は背丈を伸ばし、花盤の色もピンクへと変化する。雌しべが突き出してるこの平らな花盤には蜜が染み出していて、舐めれば甘い。
こんな単純な蜜の分泌方法では、盗蜜される割合が多いに違いない。

さて、ここからが本番となる。
以前Y師匠から、ヤブガラシの実は観た事が無いだろうと言われ、その通りだと答えた記憶があり、ヤブガラシの染色体数の関係らしいとも聞いた。
そこでいろいろな方面から断片を拾い集めて、以下のようにまとめてみた。
3倍体の植物の種子は不稔
ヒトの染色体数(ゲノム:この上にDNAが乗っかっている)は23セット46本あるから、2n=46と表記される場合が多い。
このヒトが、卵や精子(植物でも同じで卵細胞や花粉)をつくる際には減数分裂が行われ、セットが解消されて半分のn=23となる。
n=23の卵細胞とn=23の精子が合体すれば、染色体は再びセットの
2n=46となる。
今例えば2n=8の植物があるとしよう。そのゲノムを記号で表すと、
A B C D
A B C D となる。A B C Dが倍あるから、こんな状況を2倍体と呼ぶ。
この植物がつくる卵細胞や花粉はセットが解消されてn=4、つまり
A B C D の卵細胞と
A B C D の花粉が形成されることになる。
これが受精すると再び元のセット状態になって、同じ植物が出来る仕組みだ。
A B C D
A B C D つまり2n=8だ。
ところが植物では往々にして、3倍体や4倍体が生じる。3n=12とか
4n=16だ。
A B C D A B C D
A B C D A B C D
A B C D これが3倍体 A B C D
(3n=12) A B C D
これが4倍体。
(4n=16)
4倍体の場合はうまく減数分裂が進んで、種子は普通通り稔って4倍体の個体を生じる。
A B C D A B C D
A B C D の卵細胞に A B C D の花粉である。
ところが3倍体の植物ではうまく減数分裂が進まない(nの状態になれない、つまり花粉や卵細胞の形成が上手くゆかない)から、種子は不稔となる。
ただ、3倍体や4倍体は大きく生長する場合が多く、農業面では結構利用されている。
また、人工的に2倍体と4倍体を交配して3倍体をつくると種子が出来ないから、種無しスイカや種無しブドウを手に入れることが可能となった。
*大変な勘違いを犯している可能性があるので、参考程度に捉えてほしい。
ヤブガラシ、
近年の研究により、これらは3倍体であることが判明したという。
ところが問題は2倍体で、2倍体のヤブガラシの葉には3個しか小葉をもたないものが目立ち、良く実をつけるものもあれば、全く実を結ばないもの、結実率が低いものといろいろあるそうだ。とにかく花粉形成の過程に何らかの問題があるのではないかとされている上に、我々がよく目にする3倍体の親は、果たして本当にこの2倍体だったのかという疑問も残っているそうで、事態はそれほど簡単じゃない。
しかし、身近にある植物に対し、あれこれ思いを巡らすのも楽しい。
そうそう、キョウチクトウもその果実を見る機会の少ない植物で、これも何か秘めているような気がする。
ヤブガラシの実や小葉3個のヤブガラシを見つけたら、経過観察すると面白いだろう。
ああしんど。。。