大昔、小生宅の小さな庭もみな畑になっていた。敗戦後の食糧難に対応せねばならず、サツマイモや野菜が育ち、鶏小屋まであった。
もちろん小さな子ども達も人手としてこき使われる。侵入した雑草は引き抜いたり鎌で刈り取ったりするわけだが、とにかく難儀だったのはイラクサ(イラクサ科)で、刺草と書き表すようにチクチクして、しかも特有の痛みを味わうことになる。
刺からは、アセチルコリンなど何種かの刺激物質が分泌されているからだ。
 
 
イラクサ科にもいろいろ種類があり、伊吹山で増殖しすぎて困っているのがアカソ。赤い茎に赤い葉柄が目立つ草である。六甲ケーブル上駅近くに、コアカソ(イラクサ科)が生育していて、これは木本だ。イラクサ科の中の木本は珍しい(ひょっとしてこれのみ?)とみえ、山渓カラー名鑑「日本の樹木」にもイラクサ科は載っていない。
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このコアカソも何度も見ている。が、気づかなかった・・・
案内人さんに指摘されて、よ~く観た。なんとこの葉柄、左右でこんなにも違っている。ここまで詳しく説明してあるのは専門書しかないだろう。収穫!
 
 
次はオオバヤシャブシ(カバノキ科)の葉だ。今までならこうしても、私は何も気づかなかっただろう。
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葉の基部、必ず左右のどちらかの葉脈が1本少ないではないか。いや葉脈が少ないというより・・・  どう表現すべきなのか分からないけど、これって大きな特徴だと思う。
 
 
まだ咲き残っているガクアジサイ。装飾花(ガク)が昆虫を呼び寄せる。
ここまではOK。
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昆虫が来てすっかり受粉が終わると、装飾花は裏返って「もう来なくていいよ」と言ってる。
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話は飛ぶが。。。
ジャコウアゲハという蝶がいる。興奮すると麝香の匂いを出すらしい。
この蝶、有毒成分を含むウマノスズクサ科植物を食草としていて、体内に毒を蓄積している。鳥はそれを知っているから捕らえない。
体内に毒素を持つのは、外敵から身を守るのに大変有効であり、そっくりに擬態するアゲハモドキなる蛾もいるそうだ。  ここまではOK。
しかしだからと言って彼や彼女、鳥に襲われる心配がないから優雅にフワフワ飛んでいると説明されても、それは納得しかねる。
ガクアジサイの装飾花も同じで、単に力を失い、2段階に萎れただけの話だ。
  --昨年までの私ならそう理解したであろう--
 
エライ長くなったが、ここから「目からうろこ」である。
奈良公園には大昔から、沢山の鹿が棲んでいる。その鹿、平気でイラクサを食べていた。このままでは食べ尽くされると焦ったイラクサは、分泌する刺激物質の濃度を50倍にまで高めて、食害から身を守ったのである。
わずか1200年の間にみせた進化。
こうなるとガクアジサイさんやジャコウアゲハさんの知恵も、むべなるかな。
奈良公園のイラクサには触れないほうがいい。