逆紹介。
仕方がないけど嫌だった。
『うちで診られるのはここまでなんです』
と、外科の田部先生は申し訳なさそうだった。
術後の傷の痛みや排便障害は続いているが、時間がかかるので、経過観察は他の医療機関で、ということだ。
大きい病院だから仕方ない。
最後の日にお礼を書いた手紙を渡した。
生きる自信をなくしていた私の命を救ってくださったことに、心から感謝していた。
待合室で座っていたら、診察室から田部先生が出てきてくれた。
先生『いつでも顔を見せに来てくださいね』
私『はい。ありがとうございました』
会計を済ませ、薬局に向かった。
他の科にもかかっているので、この病院に来なくなるわけではない。
でも悲しくて泣けてきた。
主治医や病院が代わること、当たり前のことなのかもしれないが、不安だった。
受け入れるのに少し時間がかかった。
数日後、逆紹介状を持って近所のクリニックへ行った。
ストーマ閉鎖後の経過観察は内科でも良いと言われていた。
一度下見に来ていた新しいクリニック。
二度目だが、先生がイケメンすぎて、人見知りがさらに強くなる。
先生『紹介状、見ました。
すごく大変だったんですね。
専門ではないですが、一応消化器も診れるので』
私『はい。
よろしくお願いします』
先生『まあ、他にはもっと大変な方もたくさんいらっしゃいますし』
心が凍りついた。
帰り道、ふと頭に浮かんだ。
【それを言っちゃあ、おしまいよ!】
本当にこの先生で大丈夫かな。
心配になったけど、自分で選んだから仕方ない。
このクリニックを選んだ理由は、下見の時の先生の一言だった。
『わからなかったら、すぐに紹介状を書きます』
先生は正直な方が良い。
田部先生の言葉を信じてここにした。
だから大丈夫。
今日の良いことは、仕事を休んだこと。
お局女帝様に会わなくてよかったこと。
最近、同僚への当たりが強くて、毎日見ていてしんどい。
同僚も怯えている。
急に大きい声で怒鳴る。
安定剤の量が増える。
どうしたものか。
