忘年会当日、いつも通り出社した。
忘年会を兼ねて、同僚の山川さんの送別会がサプライズで行われようとしている。
退職が決まっていない人の送別会をするなんて。
怖くて怖くて仕方がなかった。
送別会をされてしまったショックで死んじゃったらどうしよう。
私が同じことをされたら生きていられる自信がない。
死を連想する出来事に心が耐えられない。
怖い。
送別会はサプライズなので、誰も何も言わない。
前日の夕方、上司に事情を話していたが、本当に中止されるかどうかわからない。
お局女帝が私に近付いてきて、小声だが相変わらず強い口調で言った。
『山川さんの仕事を早めに引き継いでね。
来月から聞く人がいなくなるんだからね』
どういうこと?
今月いっぱいで退職なんて決まってないはずだ。
なんで女帝から業務引き継ぎの指示をされるのだろうか。
社歴は長いが上司ではない。
山川さんにメッセージを送り、退職について具体的に決定していないことを確認した。
やっぱり女帝は山川さんを辞めさせようとしている。
恐ろしすぎる。
体の震えが止まらなくなって、お手洗いへ駆け込んだ。
動悸も強くなり、深呼吸をしても落ち着かない。
離席が長くなり、女帝に叱責されるのが怖いので、とりあえず席に戻った。
送別会を中止できなかったらどうしよう。
怖くて涙が止まらなくなった。
仕事にならない。
しばらくして上司から、女帝に送別会を中止するようにと連絡が入った。
女帝がすぐに、逆らえない仲間たちと一緒に騒ぎ始めた。
『はあ?パワハラ?』
『ほんと、あの人と仲良くしてなくてよかった』
ケラケラと笑いながら、私への悪口が続いた。
今度は事務所の外へ出て、落ち着こうとしたが、ダメだった。
震え、動悸、涙が止まらない。
夫へ電話をしたら、仕事を早退して迎えに来てくれることになった。
体調不良ということで、送別会の欠席を伝え早退した。
会社を飛び出して、すぐに精神科に電話をして診てもらえることになった。
私だけ逃げるみたいで申し訳なかった。
ごめんなさい。
とりあえず、送別会が中止になってよかった。
会社から山川さんへ事情説明があったようだ。
夕方、心配で電話をかけたら山川さんは悲しそうに言っていた。
『学校で、まるで亡くなった生徒のように机に花を置かれる。
こんないじめに遭うところだったんですね』
結局傷つけてしまった。
もう少し冷静に対応できていたらよかったのに。
本当にこれでよかったのかな。