朝から晩まで、病室にはたくさんの人がやってくる。
訪問者は朝食を運ぶ看護助手から始まる。
次に大名行列。
外科の田部先生と研修医の小林先生、朝と夜、1日2回。
婦人科の木田先生と研修医の伊東先生、時間はバラバラだが、毎日。
その他、麻酔科医や看護師長、ストーマ専門看護師も様子を見に来た。
担当看護師は昼と夜で交代する。
ルーティーンワークと点滴交換、夜中にも何度か部屋を覗きに来る。
たくさんの人に、同じ質問をされた。
『眠れていますか?
眠剤を飲んだら眠れるかもしれませんよ』
『食べていますか?
少しでも良いので、頑張って食べましょうね』
『はい。ありがとうございます』
と、しっかり全員に笑顔で感じ良く対応する。
数日間は寝たままだったが、体を起こし、姿勢を正して話せるようになり、ようやく罪悪感から解放された。
気疲れの絶えない性格は、常に自分を苦しめる。
眠れないことも、食べられないこともカルテには書かないのだろうか。
この2つを聞くようにと、マニュアルにでも書いてあるのだろうか。
いつもニコニコしていることを心がけていたが、本当は疑問だらけだった。
何も聞けなかった。
『入れ替わりにどんどん人が来て、同じことを聞かれて大変ですよね。
僕も毎日来て、すみません。
疲れちゃいますよね?』
木田先生だけは、そう言って、違う話をしてくれた。
『そんなことないですよ。
色んな方にお気遣いいただけて、ありがたいです。
お忙しいのに、いつもすみません』
テレビはつけない。
持参している本も読まない。
1人になったら考え事。
不安や恐怖、絶望。
こんな体になってしまったことに対して、病院への不満や不信感。
様々な感情で頭がいっぱいだった。
夫に連絡したいが、あまり弱音を吐きたくないので我慢した。
時々の他愛もない報告に留めていた。