研修医の伊東先生が来た。
いつも、小さくノックして、申し訳なさそうに、部屋へ入ってくる。
『カルテを見たら、食事が摂れない。
心理士介入、と書いてありました。
気になって様子を見に来ました』
私にとっては、命の恩人、心の中で呼んでいるあだ名は、天使。
研修科を異動後も、時々来てくれる。
心理士介入?
何のことか、わからなかった。
知らなかったけど、驚きは隠して、笑顔で話を聞いた。
主治医より先に伝えてしまったことを、気付かせないように、振る舞った。
しばらく、天使の研修話を聞いた。
その後、1人になった。
心理士介入とは、どういうことなんだろう。
何か症状が出ているのか。
一度も、心の病気の経験はなかった。
知識もない。
いい顔しいの私は、毎日ちゃんとしているつもりだった。
迷惑をかけないように、良い患者でいようと心がけていた。
夜、田部先生が来た。
心理士とのカウンセリングをすすめられた。
知っていたことがばれないように、気を使った。
病気なのだろうか。
先生たちには、どう見えているのだろうか。
自覚はない。
天使のおかげで、前もって考える時間ができたが、結論は出せなかった。
返事は保留した。
心の病気だと、言われているようで、複雑な気持ちだった。
認めたくなかった。