外科の田部先生と研修医の山中先生が来た。
『管、外れましたね。
ご主人が来られてから、詳しくお話しますね』
ICUの患者は私1人。
カーテンの向こうで、先生達と看護師が夫の到着を待っていた。
看護師『婦人科の木田先生が連絡を取ってくださって、ご主人は一昨日面会されたんですよ』
田部先生『え?そうなの?
知らなかった』
そうだったのか。
木田先生のおかげで、夫と面会できていたようだ。
『ご主人、到着されました』
カーテンが開き、知らない女性が入ってきた。
誰だろう?と顔に出ていたのだろう。
研修医だった。
研修医『何度かお世話してますよ。
覚えてないですよね?』
私『はい、すみません。
覚えていません』
研修医『鎮静剤がちゃんと効いていたということなので、気にしないでください』
心電図モニターに繋がれた3色の電極を外された。
研修医と看護師に支えられ、車椅子に乗った。
『大変。
男性ばっかりだから』
と、研修医が、はだけたガウンをきれいに整えてくれた。
看護師に車椅子を押してもらい、別室へ向かった。
小さな部屋に、先生3人と夫がいた。
看護師も同席してくれた。
『木田先生から、少し聞かれていると思いますが』
田部先生の説明が始まった。
ストーマ閉鎖手術のため、麻酔科医によって、麻酔の導入が始まった。
麻酔科医が、気管内に、1つ発赤を発見した。
すぐに点滴を中止したが、数分のうちに全身に広がった。
急激な血圧の低下。
蘇生が行われた。
気管浮腫。
気管挿管状態だったので、鎮静剤を投与し、72時間、呼吸器管理を行った。
原因は、抗菌薬が疑われた。
ストーマ閉鎖は、排泄口の手術のため、前回までとは違う、強めの抗菌薬が使用された。
人工肛門閉鎖術は中止された。
その日のうちに、夫が病院に呼ばれた。
身体拘束と、カメラによる監視に対する同意書にサインをしたそうだ。
少し聞いていたとは言え、衝撃は大きかった。
瞬きも忘れるくらい、田部先生を凝視していた。
苦しくて、肩で呼吸をする状態になった。
看護師が背中をさすってくれた。
『ストーマ閉鎖術は、早くて来週に、できます。
どうしますか?』
しばらく夫と2人にしてもらい、結論を出すことになった。