『私、ICUに配属される前は外科にいたんです。
〇〇さんに指導してもらってました。
めちゃくちゃ尊敬してるんです』
後輩ちゃんが、嬉しそうに話してくれた。
前回の入院時に、ストーマケアをサポートしてくれた、とても優しい看護師のことだった。
夜勤と日勤の看護師が交代した。
恐ろしい先輩看護師は、休憩から戻って来ても働くことはなく、会わずに済んだ。
『10時半に外科から迎えが来ます』
時計もない、スマホもない。
外科の田部先生と研修医の山中先生が来た。
おそらく8時半頃だと予想できた。
『昨夜、息苦しかったみたいですね。
今朝はどうですか?
喉は痛みますか?』
『ちょっとだけ。
でも、大丈夫です。
元気です』
恐ろしい看護師との深夜の出来事を話したいと思った。
しかし、困らせるだけだと思って、やめた。
『今日から外科に戻りますからね。
では、また夕方』
しばらくぼんやりとして過ごした。
外科から迎えが来た。
看護師2人と看護助手1人。
『私、歩いて帰れるかもしれません』
『いいえ、横になっててください。
こんな機会、滅多にないと思うから』
と、看護助手が笑っていた。
見知った顔ぶれで、安心した。
4日間のICU。
前半の記憶はほぼないが、ようやく脱出できる。
ベッドに横になったまま、外科の病室へ移動した。
前回の術後に運ばれる時、乗り物酔い状態になったことを思い出した。
どうか嘔吐しませんように。