婦人科外来の日。
『そろそろ手術を検討されませんか?』
いよいよきたか。
いつかやらなきゃいけないことは理解していたが、ついに言われてしまった。
『前の手術が大変だったので、しばらく時間を置くということになっていたと思います。
そろそろかな、と』
子宮頸部円錐切除術と子宮全摘出術についての説明を受けた。
子宮全摘出だと、子宮頸がんだけでなく子宮体がんの心配もなくなる。
もちろん、それはありがたい。
私『子宮を全摘出したら、他の臓器や体の状態に何か影響はありますか?』
先生『子宮は妊娠と出産以外必要ありません』
スパッと言われたので、なんだかハッとした。
もう私には必要ないんだ。
『次の外来日までに考えてきてくださいね』
帰宅途中も頭の中がぐるぐるしていた。
手術をすべきことは百も承知している。
だが、2回も手術で命を落としかけている。
次は大丈夫、なんて保証はない。
フラッシュバックが始まった。
手術室で口にマスクを押し当てられて、意識がなくなるまでの数秒間の恐怖。
4回も経験したのに、毎回毎回気が狂いそうになるくらい怖かった。
思い出したくない。
帰宅して夫に話をした。
『今度こそ死ぬかもしれない』
話し合って、できるだけ早く手術をした方が良いことはお互い理解している。
でも、不安で迷いもある。
夫『危険な状態だからすぐに病院に来てって、2回も電話がかかってきたからね。
もう二度と味わいたくないよ』
私『知ってる先生たちも、みんないなくなっちゃったから不安だよね』
以前の執刀医や担当医、心を開くことができた先生たちは異動して、もういない。
よく様子を見に来てくれていた研修医もいない。
今の担当の女医さんは、とても優秀らしい。
テキパキしていて、仕事できますオーラが出まくっている。
とてもドライだ。
いつも診察室はピリピリしている。
淡々と診察が終わる。
パソコンを打ちながら話しをして、目が合うこともほとんどない。
機嫌が悪いのかな?
何か気に触ることを言ったかな?
怖くて、こちらから話しかけることができない。
以前の先生たちは、ほんわか優しい雰囲気だった。
きちんと向き合ってくれていた。
急かされることなく、不安や悩みを聞いてくれた。
だから、今の担当の先生に命を預ける勇気が出ない。
いざとなったら、きっと向き合ってくれるのだろう。
でも、まだ信頼関係が築けていない。
私『ちょっと、また今度考えたい』
夫『まだ時間はあるから、外来の日が近付いたらまた考えよう』
最近ようやく思い出さなくなった入院中の出来事が、またどんどん頭の中で再生される。
手術しないと死ぬかもしれない。
手術したら死ぬかもしれない。
困った。
