お腹が痛い。
手術の傷痕の周りと、傷の下辺り。
チクチク、キリキリ
時々ズキズキ
『外も中も切ったり縫ったりしてるから、しばらく痛いよね』
と言っていた外科の田部先生。
明日から違う病院へ行ってしまう。
命の恩人とはもう会えない。
『いつでも会いに来て』
最後の外来の日に言ってくれた。
社交辞令でもうれしかった。
手術がとても上手なスーパードクター。
研修医や看護師、他の科の先生も言ってた。
最近は診てもらってはいないが、病院にいてくれるだけで安心だった。
何かあったら助けてくれると思えていたから。
異動先の病院は遠くて、転院は難しい。
仕方がないけど、さみしい。
久しぶりにまじまじと傷痕を見た。
薄くなっていた。
見た目は良くなっていても、中身はまだまだ。
傷が薄くなるみたいに、体も心も良くなればいいのに。
お腹の痛みが、辛い記憶を連れてくる。
私のお腹は、いつになったら痛くなくなるのかな。
辛い闘病生活だったけど、担当医との思い出は良いことの方が多い。
【先生方に救ってもらった命、大切に生きていきます】
そういえば、最後に渡した手紙に書いた。
忘れないようにしなきゃ。
先生、さようなら。
ありがとうございました。
