冷たいものが歯にしみる。
歯科医院は入院前にクリーニングに行ったのが最後だった。
行きたくないけど行かなくちゃ。
人に会うのは億劫だったが、仕方がないので行くことにした。
『セフェム系の薬がアレルギーです』
受付で伝えて順番を待った。
名前を呼ばれて診察室へ入った。
アナフィラキシーを起こしてから初めての歯科。
緊張していた。
受付の人、一度も席を立っていなかった。
本当に、私のアレルギーのことを先生に伝えてくれただろうか。
診察が始まり、どんどん心配になってきた。
歯と歯茎のチェックとクリーニングなので、薬は使わないだろう。
でも怖い。
もしかしたら。
唇がガタガタと震え、口を開けていられなくなった。
『もう少し、しっかり口を開けてくださいね』
ちゃんとしなきゃ。
迷惑をかけてしまう。
頑張って口を開けようと思うが、どうすることもできない。
震えが止まらない。
動悸も始まり、呼吸も苦しくなった。
深呼吸をしても制御できない。
肩で息をしてしまう。
『一度起こしますね。
少し休憩しましょう』
ただ横になって口を開けるだけ。
こんなこともできないなんて。
いったいなんなんだ。
自分の体じゃないみたい。
制御不能。
情けない。
診察が再開されたが、なかなか口を開けていられず、歯科助手が一生懸命サポートしてくれていた。
次の予約を取り、帰宅した。
次は大丈夫だろうか。
今日は特に良いことが見つからない。
天気が良いことくらいしか。
