私だけ時が止まったまま。
【手術は成功したが合併症を起こした。合併症だから仕方ない。防ぎようがなかった】
手術がうまくいかなかった時の医者の常套句だと、ある記事に書いてあった。
私の場合は逆だ。
『合併症だから仕方なかったんですよね?
防ぎようがなかったんですよね?』
緊急手術前の緊迫したミーティングルームで、申し訳なさそうな先生たちへ、精一杯の気遣いで言った。
我ながら気丈に振る舞えていたと思う。
本当に辛かったのは、手術がうまくいかなかったことではない。
うまくいかなかったことに、目を向けてもらえず、対応に時間がかかったことだ。
どんなに痛みを訴えても、聞き入れてもらえなかったこと。
いつも思い出すのは、この時の悶絶するような痛み。
やっと痛みのフラッシュバックが落ち着いたと思ったら、今度は、気管挿管され身体拘束状態で暴れている私がいる。
この2つの記憶が何度も鮮明に頭の中で繰り返される。
時間は過ぎていっても、すぐにあの日へ引き戻される。
婦人科の木田先生の異動があり、外科の田部先生も春に異動することが決まったそうだ。
仕方がないことだとわかっている。
でも辛い。
もう少し元気になるまで見守ってもらいたかった。
ちゃんと治るまで、責任持って見届けてよ。
『大丈夫』って言ってくれる人は、1人でも多い方がいい。
叶わないけど、それが本音だ。
病院からしたら、患者をどんどん捌いていかなくちゃいけない。
先生だって、いつまでも同じ患者に構っていられない。
わかっていても悲しい。
突然、突き放されたような気持ち。
後遺症との闘いは続く。
孤独だ。
私だけ、あの日の病室に取り残されたまま。
なんで私だけ。
焦りと恐怖が押し寄せてくる。
