仕事復帰して早々に休みを取るのは申し訳なかった。

しかし、早めにいかないとまずい状況だと自覚していたので、精神科の予約を取った。


いつも通り心理テストを済ませて、待合室で待った。

いつ来ても患者さんが多い。


1時間くらいで名前を呼ばれた。

ついつい弱々しくノックをしてしまう。

『失礼します』


先生『ひさしぶりに来たね。

大丈夫だった?』

顔を見ただけで、泣きそうだった。


私『じつは』

言葉に詰まりながら、一生懸命話をした。

先生『ゆっくりで大丈夫』


手術でアナフィラキシーショックを起こし、退院が長引いたこと。


悪夢ばかりで眠れないこと。

手術がうまくいかず、気絶するような痛みを感じる夢。

身体拘束されたまま、苦しくて暴れている夢。

実際に起きたことが何度も夢に出てくる。

痛みや苦しみが現実なのか夢なのかわからなくなり、パニックになること。


小さな物音が気になり過ぎて気が狂いそうになること。

常に恐怖心を感じていること。

動悸や震え。


死ぬかもしれない。

死の恐怖が日に何度も襲いかかってくること。


涙が止まらなくなった。


先生『アナフィラキシー、大変でしたね。

そんなことが起きるんだね。

かわいそうに』

先生はとても驚いていて、しばらく沈黙だった。


先生『石橋病院にも精神科の先生がいるはずだけど、また何もしてくれなかったの?

本当に困ったもんだね』

私『早めに精神科に行くようにと言われました』


先生『常に交感神経が高ぶっている状態だから、薬で様子を見てみましょう』


診断はPTSD。


PTSD?

聞いたことはあった。


命にかかわるような体験をしたことによって、社会活動に障害を伴ってしまうこと、だそうだ。


私『治りますか?』

先生『治りますよ』

私『それならよかった』

先生『仕事もあまり無理をしないように。

では2週間後にまた来てくださいね』


お医者さんと話をするだけで、気持ちが楽になって、少し治ったような気になる。

なぜだろう。

不思議だ。

特殊な能力でも持っているように感じる。