退院の日が近づき、色んな人が来てくれる。


久しぶりの看護師長。

いつも通り、ベッドの横に屈んで話しかけてくれた。


看護師長『あと少しで退院ですね。

本当に大変なことがたくさんありましたよね』

私『退院してからのこと、不安もあります。

でも、頑張ります』

看護師長『よく頑張ってこられたと思いますよ』

私『辛かったけど、勉強になったこともたくさんあるんです。

人工肛門になって初めて気が付いたこともあります。

こんなに大変な思いをされている方がいらっしゃると、知ることができました。

何も知らずに生きてきました』


涙が止まらなくなった。

看護師長も一緒に泣いてくれた。


私『みなさんが働かれている姿を見ていて、私も頑張らなきゃと思いました。

みなさんが助けてくださって、本当に感謝しています』

看護師長『そう言ってもらえて、みんな喜びます。

励みになります』

私『たくさんご迷惑をおかけしちゃって申し訳ないです。

本当にありがとうございました』


優等生的な対応は得意だが、私の気持ちに嘘はなかった。


入院生活の中で、看護師につらく当たられたり、理不尽だと感じることもたくさんあった。

でも、優しく献身的に支えてくれる人もたくさんいた。


夕方、顔見知りの看護師も来てくれた。

前回の入院時からお世話になっているベテラン看護師。

明るくて涙もろい。


看護師『こんばんは。

退院の日、夜勤だから、会いに来ました』

顔を見ただけで泣けてきた。

2人で泣いた。


看護師『藤井さんが婦人科から外科に転科して来られて、すぐに担当しましたよね。

私、あの頃、外科に異動してきたばかりで、すごく不安だったんです。

内科が長かったから、外科でやっていけるか、自信がなくて。

でも藤井さんを見ていて、私も頑張らないとって思っていました』

私『本当にありがとうございました』

それ以上は、言葉にならなかった。


辛い時、何度か一緒に泣いてくれたことを思い出した。


あと少し。

色んなことがあったけど、入院生活は嫌なことばかりではなかったのかもしれない。