術後ではないので、朝の大名行列は来ない。
平日は毎日、朝と夕方、外科の田部先生と研修医の山中先生が来てくれる。
看護師が、1日に何度か、血圧測定などのルーティーンワークをしに来る。
点滴を流す、輸液ポンプという機械から、時々アラームが鳴る。
管が曲がり、ちゃんと流れていない時などに、アラームが鳴るらしい。
自分ではどうすることもできないので、恐る恐るナースコールを押す。
『すみません』
ICUの時ほど、怒られない。
それ以外は、できるだけナースコールは押さないように気を付けていた。
人にイライラされるのが、心から苦手だから。
時々、心理士の先生が様子を見に来てくれる。
私は、兎に角人見知りなのだが、心理士さんとは、不思議と自然に話ができた。
心理士さんは答えやすいように、色々なことを質問してくれる。
心理士さん自身のことも話してくれて、心地良くコミュニケーションが取れる。
私は、人の顔色をうかがい過ぎて、言葉が出てこないことが多い。
傷つけてはいないだろうか、間違った言い方をしていないだろうか。
その結果、相手にイライラされてしまうので、コミュニケーションを取ることをあきらめてしまう。
しかし、心理士さんの場合は、プロのテクニックなのか、人柄の良さなのか、あまり緊張しなかった。
『精神科、行きましたよ。
〇〇メンタルクリニックです。
不安でしたが、行ってよかったです』
心理士さんとの面談で、精神科の受診を決めたので、報告をした。
『たまたま、そのクリニックを選んだんですか?
院長先生?
名医だと言われていますよ』
そうだったのか。
やっぱり受診してよかったと思えた。
心理士さんは、とても気さくで話しやすい。
私が、珍しく心を開いた人だ。
ちょっとした不安や悩みに、真摯に向き合ってくれて、アドバイスしてもらえる。
でも、病院内での困り事は、なかなか言えなかった。