最初の記憶は、自分の左腕。
体が動かせない。
苦しい。
ベッドの柵に腕が縛られている。
自分の病室ではない。
ここはどこだ。
ぼんやりとしていたが、視界に入った左腕に小さなぶつぶつがたくさんあるように感じた。
こんなにホクロがあったかな。
すごく違和感があった。
声が出せない。
苦しい。
何が起きているかわからず、パニックだった。
足は動かせた。
バタバタした足が柵にぶつかった。
目が覚めたことに気が付いたのか、看護師が来た。
『明日、田部先生から説明があります』
何か色々言われたが、それだけ覚えていた。
意識は朦朧としていた。
夢を見ているのか、よくわからなかった。
縛ってある右手だけを外されて、紙とペンを渡されたが、放り出した。
息苦しくて、口に貼ってあるテープを剥がそうとしたら、看護師に強く止められた。
気管挿管されていたようだ。
夫に会ったような気がする。
木田先生と会ったような気がする。
ぼんやりとした、断片的な記憶。
ペンを持ち、紙に何か書いたと思う。

