ストーマ周辺の皮膚トラブルは、こまめなパウチ交換と、パウダーの皮膚保護剤と軟膏で、少しずつ改善していった。
夫が、ストーマケアのサポートを積極的にしてくれたので、心も少し落ち着いた。
ストーマは、排泄物だけでなく、ガスも勝手に出てしまう。
入院中はあまり気にならなかったが、音が人に聞こえてしまうのではないかと、心配でたまらなかった。
それに、臭いにも過敏になっていた。
排泄物やガスが、人に臭ってしまうのではないか。
夫に何度も
『私、臭くない?
おならの音、周りに聞こえない?』
と尋ねた。
退院後数日間は、夫以外の人に会っていなかった。
音や臭いを気にしすぎて、人に会うのが怖かったからだ。
『激しい運動以外は、普通の生活を送って大丈夫です』
退院前、外科の田部先生は言っていた。
仕事は、1週間休んで復帰することにしていた。
体力を回復させる為に、少しでも何か食べるように努力した。
消化に良いものや、ストーマの人へおすすめの食材、おならが臭くなりにくい食材、などを調べて、食事を作るようにした。
一番助けられたのは、茶碗蒸しだった。
色々な具材を入れ、大量に作り、ストックしていた。
入院前は、スーパーの買い物でカートは利用していなかった。
しかし退院後は、少し歩き回ると、膝から崩れ落ちそうになるので、カートが必要になった。
外出したら、まずトイレの位置確認。
いつストーマパウチが満タンになるか、予想ができないので、トイレが近くにないと不安だった。
外出は勇気が必要だった。
だから、とても億劫だった。
少しずつ、家事をするようにしていたが、ほとんどの時間はベッドで横になっていた。
先生の言う【普通の生活】を送れる日は来るのだろうか。