1ヶ月と数日の入院生活が終わろうとしている。
早朝、少しうとうしてしまった。
嫌な感触。
少し横を向いてしまっていた。
お腹あたりが冷たい。
ストーマパウチと面板の接続部が少し外れ、排泄物が漏れ出していた。
何度目だろう。
もう嫌だ。
朝から看護師に、最後のストーマケアの確認をしてもらえることになっていた。
でも漏れているから、そうはいかない。
ナースコールを押して、予定を狂わせてしまったこと、布団を汚してしまったことを、謝った。
夜勤の看護師は人数が少ないので、こんなことで忙しくさせてしまうなんて、申し訳ない。
しかも担当は、最初の頃からとても親切にしてくれている看護師だった。
最後の最後に迷惑をかけてしまった。
『時間がないから、私が、急いでパウチの交換してしまいますね』
本当は最後だから、自分で交換するところを見ていてほしかった。
そんなこと言えるわけなかった。
一番安全な場所から出て行く。
どんな生活が待っているのだろう。
外科の田部先生が来て、挨拶を済ませた。
『2週間後、外来でお会いしましょう。
しっかりサポートするので、大丈夫ですからね。
ストーマ外来の予約も入れておきました』
婦人科の木田先生も来てくれた。
『外は暑いので、思っている以上に大変だと思います。
くれぐれも無理されないように、ゆっくり過ごしてくださいね。
外来でお待ちしています』
事務員さんが、入院費の請求書を持ってきた。
看護師の迎えが来た。
忘れ物はないか確認をして、部屋を出た。
『藤井さん、出られます』
数名の看護師が駆け寄って来て、言葉をかけてくれた。
涙を堪えて、挨拶をした。
荷物を持ってくれた看護師と、ずっと最後まで気にかけてくれた看護師、そして看護師長に病棟の入口まで付き添われた。
夫が荷物を受け取り、ロビーへ行き精算を済ませた。
久しぶりの屋外。
湿気でムッとした。
入院した時は、心地よい5月下旬。
季節が変わっていた。
時間の経過に戸惑った。