術後1週間、ようやく尿の管が取れて、オムツも外された。

術後、始めてのトイレなので、看護師に便器に座るまで付き添われた。


ストーマパウチに管が繋がれ、溜まった排泄物を、毎日計量されていた。

その管も外れた。

パウチから排泄物を計量カップに出す練習をしましょう、と言われた。


回腸ストーマなので、便は水溶。

パウチの下部、マジックテープを外し、クルクルと丸めた袋の入口を伸ばした瞬間、ドバーっと勢いよく出た。

少しこぼれた。

思ったより難しい。


『また溜まってきたら一緒に出しますので、ナースコールしてくださいね。

その時に計量カップを持ってきます』


夕方になり、担当が夜勤の看護師に交代した。

はじめましての看護師。


ルーティーンワークの、検温と血圧測定。


テーブルに入院時に持ってきた本を置いていた。

『本を読んでいるんですね。

テレビを見たり、本を読めるようになった患者さんは、だいぶ回復してきたということです』

と、言い放った。

『しっかり歩いて、どんどん動いてください』


計量カップをトイレに置き

『計量は自分でやってくださいね』


お昼の看護師が、便の計量は一緒にやってくれるって言ってたのに。

本は読んでいないし、ただテーブルに置いていただけ。

読んでいるって勝手に決めないで。

今日、やっと自分でトイレに行くようになったのに。

まだほとんど自分で動いたことはない。

急に歩けとか動けとか。

いったいなんなの。


『はい』

何も言えなかった。

会話のキャッチボールはなく、一方的に言いたいことを言って、去っていった。


鬼と悪魔が合わさったような看護師。

部屋を出て行った瞬間に、涙が出た。

こんなにひどい人がいるなんて。

いや、人ではない、鬼と悪魔だ。


苦しい。

過呼吸になりそうだった。

落ち着け、落ち着け。


もう我慢できない。

他の看護師が来ることを祈って、ナースコール。


『藤井さん、どうしました?』

大好きな優しい看護師が来た。

天使だ。

よかった。


事情を話しながら号泣。


鬼と悪魔の看護師には、それ以来一度も会うことはなかった。

いわゆる、出禁というやつだ。