暗闇の中で浮いてるようだった。
だんだん意識が戻った。
深夜なので部屋は消灯され、少し離れた場所のライトでなんとなく周りが見える。
エアーマットのようなベッド。
人が来た。
執刀医の田部先生だった。
命を救ってくれた人。
笑顔だ。
私も笑えていたと思う。
『無事に終わりましたよ。
ご主人には電話しましたので、安心してください。
明日の朝、また来ますね』
木田先生も様子を見に来てくれた。
みなさん、夜中まで大変だな。
すっかり迷惑をかけてしまった。
看護師が、ICUにいると教えてくれた。
暑くて喉が渇いていた。
飲水はまだダメだった。
代わりにうがいをさせてくれて、随分楽になった。
味を占めて、朝までに何度もうがいをしたいと、お願いしてしまった。
手を煩わせてしまって、申し訳なかった。
体は動かせず、押さえつけられているような感覚だった。
一体どういう状況なのか。
尿に管、そしてオムツ。
点滴。
ゆっくりお腹辺りを触ってみた。
お腹の左右から管。
お臍の横に張り付けられた袋。
その時は、うまく現状把握ができなかった。
後にわかったことだが、お腹の左右の管は、腹腔内の排液を出すためにバッグに繋ぎ、ドレナージを行っていた。
お臍の横の袋は、ストーマから出た排泄物を溜めておくパウチだった。
この袋の下にも管がバッグに繋がっていて、排泄物が管理されていた。
痛みはあったが、術前の痛みよりはましだった。
少し眠ったが、嫌な夢を見て、汗だくて目が覚めた。
知らないたくさんの外国人が出てくる映像が、どんどんフラッシュのように切り替わり、追い詰められていく夢だった。
声が出てしまったのか、看護師が様子を見に来てくれた。
夢の話をしたら、温かい体拭きを用意してくれた。
顔、首、腕、手の届くところだけだったが、とても気持ちが良かった。
外はまだ暗かった。