手術から2日、痛みは相変わらずだった。
いい顔しいの私も、だんだん愛想笑いができなくなる程、強い痛みが続いていた。
小さい音でドアがノックされた。
ドアはゆっくりとスライドしたが、カーテンは開かずに声をかけられた。
『失礼します。入ってもよろしいでしょうか』
返事をしたら、そっと入ってきた。
このお兄ちゃんは誰?
学生さんみたいだ。
ユニフォームを見て思い出した。
救急外来に何人もいた研修医達と同じユニフォーム。
この人も研修医だろう。
『木田先生と一緒に病棟で担当をします、伊東です。
よろしくお願いします。何かあったら言ってください。
体調どうですか?』
天使が現れた。
やっと話を聞いてくれるかもしれない。
術後からずっと痛みがあること。
痛みは強くなってきていること。
手術をした下腹部だけじゃなく、胃やみぞおち、脇腹、鎖骨、色んなところに痛みが広がっていっていること。
全部聞いてくれた。
この病院ではじめて話を聞いてくれた。
『大変でしたね』と。
ポケットからマニュアルのような本を取り出した。
『胃かな、胆嚢かな。んー。
木田先生に相談してきます。
熱を測って待っていてください』
小走りで部屋を出ていった。
これで助かる。
もう少しの我慢だ。
天使に感謝。
涙が出た。