4月9日の誕生花と花言葉は、桜(純潔・心の美・優れた美人・精神美)、パンジー(三色菫[さんしきすみれ])(物思い)、スノーフレーク(鈴蘭水仙[すずらんすいせん])(純潔,穢れなき心)、アカシア(真実の愛・秘愛)等々があります。今回は、山吹[ヤマブキ]を取り上げます。花言葉は、「気品・待ちかねる・崇高」です。

バラ科ヤマブキ属の植物です。属名のケリア(Kerria)は、イギリスの植物学者「ケリー(Kerr)さん」の名前に由来しています。ヤマブキの名前は山蕗で、山の中に生えていて、花の色が蕗(ふき)に似て金色で美しい事に由来しているとか、しなやかな枝が風にゆれる様子から「山振」の字をあて、その後に「山吹」になったともいわれています。鮮明な花の色から山吹色と色の名前としても利用されています。
江戸城を築いた太田道灌とヤマブキの歌は伝説として有名です。
山吹伝説とは、 大田道灌が父を尋ねて越生の地に赴いた際に突然のにわか雨に遭いました。農家で蓑を借りようと立ち寄った際、娘が出てきて一輪の山吹の花を差し出した。道灌は、蓑を借りようとしたのに花を出され立腹して帰ったそうです。後で中村治部少輔重頼という家臣にこの話をしたところ、それは後拾遺和歌集の「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞ悲しき」の兼明親王の歌に掛けて、娘が山間(やまあい)の茅葺きの家であり貧しく蓑(実の)ひとつ持ち合わせがないことを奥ゆかしく伝えたと解説しました。古歌を知らなかった事を恥じて、その後は一生懸命に和歌の勉強をして当代一 の歌詠みになったと伝えられています。また、落語の『道灌』はこの故事を元につくられています。
また、「ヤマブキ」は、古くからの文学作品に『万葉集』では17首の中、12首が恋の花として詠まれています。
「妹(いも)に似る草と見しよりわが標(し)めし野辺(のへ)の山吹誰(たれ)か手折(たお)りし」(巻19)。
「山吹をやどに植ゑては見るごとに思ひは止まず恋こそ増され」(巻19)。
「花咲きて実は成らずとも長き日(け)に思ほゆるかも山吹の花」(巻10)。
「かくしあらば何か植ゑけむ山吹の止(や)む時もなく恋ふらく思へば」(巻10)。
「山吹のにほへる妹(いも)がはねず色の赤裳(あかも)の姿夢に見えつつ」(巻11)。
『源氏物語』の「野分(のわき)」で登場して います。 
『枕草子』には、「草の花は」の段に「八重(やへ)山吹」、「大きにてよきもの」の段に「山吹の花」が登場しています。
『源氏物語』では、六条院で紫の上の春の町を彩る景物の一つとして、また、玉鬘(たまかずら)の容姿に例えらています。
『徒然草(つれづれぐさ)』の「折節の移り変はり」の段、並びに「家にありたき草木」の段にも登場しています。
『花月草紙(かげつそうし)』には、常夏、撫子とともに晩春に他の花に遅れて咲く「執念(しうね)き深き花」として表現されている。
『金槐和歌集』源実朝「春雨の 露のやどりを 吹く風に こぼれてにほう 山吹の花」 
松尾芭蕉「ほろほろと 山吹散るか 滝の音」
等々多くの作品の中に「やまぶき」は使われています。