9月15日の誕生花と花言葉は、ダリア(華麗・不安定・優雅・威厳・感謝)、マリーゴールド[万寿菊](信頼)、コスモス[秋桜](乙女の心)、サネカズラ(好機をつかむ・再会)等々があります。今回は、ススキを取り上げます。花言葉は、「心が通じる・勢力・生命力・憂い」です。

イネ科ススキ属の植物です。秋の七草の一つです。漢字では「芒、薄」と書き、別名で、萱(かや)、尾花(おばな)とも呼ばれています。また、乱れ草、頻波(しきなみ)草など異名も多くあります。野原に生息し、ごく普通に見られます。
花穂は赤っぽい色をしているが、種子(正しくは穎果[えいか])には白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなり、種子は風によって飛ぶことができます。葉は堅 く、縁は鋭い鉤状になっているため、肌・皮膚が傷つくことがあります。
学名のMiscanthus(ミスカンサス)は、ギリシャ語の「mischos(小花の柄)+ anthos(花)」が語源となっています。ススキの名は、細い意味を表すスを重ねたススに草(キ)がついた事に、オバナは花穂を尾と見立て、カヤはカ(上)屋に由来すると考えられています。
かつて農家では、茅葺(かやぶき)屋根の材料に用いたり、家畜の餌として利用することが多く、集落の近くに定期的に刈り入れをするススキ草原となる、茅場(かやば)がありました。今でも春先に、箱根の仙石原や、奈良の若草山で行われる「山焼き」で、ススキを野焼きしています。この野焼きをしないと、ススキの草原には次第に樹木が侵入し、ススキの原として維持することができなくなるので、一年に一度全部焼き払ってススキ草原を残すようにしています。また、未成熟の穂を食用とする地域もあり、沖縄 ではススキの葉を環のように結んで魔よけとする風習があります。東京・雑司ヶ谷鬼子母神では、ススキの穂をミミズクの姿に似せて作った民芸品が有名です。
中秋の名月、十五夜のお月見にススキを飾るのも、本来は病虫害や災害から農作物を守り、豊作を願う農耕儀礼の残存と考えられています。花札では八月に用いられています。
万葉集で、山上憶良が『萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝顔の花』と詠んでいるように秋の七草の一つに数えられています。
他にもその情景が歌われていて「秋の野の美草(みくさ)刈りふき宿れりし宇治の京(みやこ)の仮廬(かりいほ)し思ほゆ」(額田王)の美草(薄)のような表記以外で、『万葉集』にはススキの名で17首、オバナが19首、カヤが10首みらます。うち5首は庭のススキを詠んでいて「めづらしき君が家なる花すすき穂に出(い)づる秋の過ぐらく惜しも」等があります。『古今集』では秋の代表的な景として、「秋の野の草の袂(たもと)か花薄(すすき)穂に出(い)でて招く袖(そで)と見ゆらむ」(秋上・在原棟梁(ありわらのむねやな))のように、「穂に出づ」「招く」が類型となり、恋歌で思慕の情を顕に示す意に用いられることも 多く、散文にも頻出し、『源氏物語』「宿木」の「枯れ枯れなる前栽(せんざい)の中に、尾花の物より異(こと)にて、手をさし出でて招くがをかしく見ゆるに、まだ穂に出でさしたるも……」は、その象徴的な例になります。。『無名抄(むみょうしょう)』や『徒然草(つれづれぐさ)』の「ますほの薄」の語義
を知ろうとする登蓮(とうれん)法師の数寄者(すきもの)ぶりの説話も有名です。
ススキを詠った歌は、
「人皆は 萩を秋といふ よし我は 尾花が末(うれ)を 秋とは言はむ」(万葉集 作者不詳)
「虫の音も ほのかになりぬ 花すすき 穂にいずる宿の 秋の夕暮れ」(金槐和歌集 源実朝)
「狐火の 燃(もえ)つくばかり 枯尾花(かれおばな)」(与謝蕪村)
「山は暮れて 野は黄昏(たそがれ)の 芒(すすき)かな」(与謝蕪村)
等々があります。