本当の人生(2) | 読書セラピー(幸せのページ)

読書セラピー(幸せのページ)

木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

星野富弘さんの詩画集
『速さのちがう時計』
(偕成社刊)の中に
次のような詩があります。

もう少しで花を咲かせる
水仙の蕾を描いた絵に
添えられている詩です。

  幸せ という
  花があるとすれば
  その花の
  蕾のようなものだろうか

  辛い という字がある
  もう少しで 
  幸せ に
  なれそうな字である

星野さんは
初めて展覧会を
開催したとき
会場を訪れた人たちが
自分の詩を熱心に
書き写している姿を見て

「私は今まで
人からしてもらうこと
ばかりだったのに
あの人たちは今
自分が描いたものから
何かを受けているのだ・・・・」

と感激し
自分がこれから何を
していったらよいか
うっすらと見えたような
気がしたと
本の中で語ります。

人はどんなに辛く
苦しいときでも
尊い命を与えられ
生かされている存在。

辛く苦しいとき
心を閉ざしがちですが
自分を励まし
力づけてくれるものが
きっとある。

その豊かさに気づくとき
失ったものの代わりに
本当の人生を
手に入れることができます。

おわり

出典:『在(いま)すがごとく死者は語る』(鈴木秀子、クレスト社、pp.55-56)