二択(2) | 読書セラピー(幸せのページ)

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木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

「さみしさを感じるのが
人間の本能だとしても
その程度には
差があります」

「どのくらいさみしいと
感じるかは人によって
違うんですね」

「はい。

遺伝と後天的要素
両方の影響を
受けるからです。

特に重要なのが
スキンシップでしょう」

「当然、スキンシップが
多いほどいい?」

「ええ。

生後6ヶ月から1歳にかけ

1)抱っこなどの
 スキンシップを
 多く取ると
 赤ちゃんの体内で
 愛情ホルモンである
 オキシトシンの分泌が高まる。

2)オキシトシンが
 脳で作用すると
 自分の近くにいる個体に
 愛着を感じるようになる。

3)オキシトシンは
 赤ちゃんの情緒を安定させ
 親子の愛着関係を
 強くするために
 重要な役割を果たす」

「スキンシップが少ないと
どうなりますか?」

「赤ちゃんの脳では
生後6ヶ月から
1歳にかけシナプス
(神経細胞をつなぐ接合部)
レセプター(受容体)と
いった脳内物質を
やり取りするための
仕組みが増大します。

つまり、周囲から情報を得て
オキシトシンなどの脳内物質を
やり取りする脳の仕組みが
著しく成長するわけです。

この時期に
適切な愛着関係が
築けていなければ
脳内物質を
やり取りする仕組みが
うまくできあがらず
①か②のようになる
可能性があります。

①人がそばに
 いるのを好まない

②過剰に誰かに
 近づこうとして
 無理を重ねたり
 ぎこちなくなったりで
 適切な人間関係を
 築けない」

「でも、赤ちゃんの頃なんて
本人の責任じゃ
ないですよね。
特に親がいなくて
養育者の場合も
あるし・・・・」

「抱っこや
スキンシップによる
オキシトシンの上昇は
血のつながった
親子でなくても
起きるので大丈夫です」

「Tちゃんは
①でも②でも
ない気がする。
ということは
さみしさを感じたとき
どうしているのかな?」

つづく

出典:『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』(中野信子、アスコム、pp.95-96)