やけにサイレンがうるさいなと思っていたら、ウチのすぐ目の前に何台ものサイレンが集まってきました。
それも、「ピーポー、ピーポー」とか「ファン、ファン、ファン」ではなく、緊急出動の「ウ~ウ~ウ~ッ」という緊迫感に満ちたサイレンです。
5分もしないうちに10台もの消防車と指揮車が終結しました。ここは、市の境に近いため、集まったのは太田市消防本部、みどり市消防本部、それに近隣の消防団からも何台も、と、両市から一挙に出動してきたのでした。
何事かと驚いて窓の外を見渡してみたのですが、火事らしい煙が立ちのぼっている様子はどこにも見られません。どうやら、誰かが農業用の溜め池に落ちたらしく、ボートなどの特殊機材を積んだ消防車も、あとから駆け付けてきました。
結果は、引き揚げる消防隊の様子を見た限りは、大した事故ではなかったようです。無事に事なきを得た、という雰囲気だったように思います。
こんな光景、滅多に見られるものじゃないとは思いましたが、事件・事故の現場になってみて思ったのは、写真に撮るのは不謹慎、という気持ちでした。大勢集まった野次馬の中には携帯やデジカメで消防車の大群を撮影している人たちもいましたが、そういう気持ちにはなれず、溜め池のまわりで動き回っている消防隊員や地元の人たちの右往左往する様子ばかりが気になりました。(記者だったころは、休日でも、いつもカメラを携えていて、こういうことがあれば、間違いなく、写真を撮りまくっていたのですが。)
ウチの事務所はアパートの二階で、しかも、東側の明るい角部屋ですから、キッチン、事務部屋、書斎、寝室と、窓が三つも四つもあり、ベランダも含めて見晴らしのいい部屋です。また、眼下には大型トラックが二台くらいは収まるような駐車場が広がっています。消防車も何台もこの駐車場に入ってきて、まるで、劇場空間のような「絶景」ポイントとなりました。
この二階から見渡せる光景の200メートルくらい先の小さな山のふもとに、「あんなところに池があったのか」と思うようなところがあって、そこに人々が集まっていました。しばらくは走り回る人たちの姿も見られましたが、次第に平穏になって、事故らしい事故でもなかったような雰囲気になっていきました。
この時に印象に残ったのが消防団でした。
消防団は、ふだんは他の仕事を持っている人たちによる、半ば以上にボランティアですから、人員も財政もその地域の実情を反映していて、かろうじて成り立っているような小規模な消防団も少なくないと思います。
駆け付けた消防団の何台もの消防車は、市の消防本部の車と変わらない手入れの行き届いた立派な車でした。それなりに大きな印象なのですが、案外小さな車両で、たぶん2トン・トラックくらいのサイズでした。高層ビルが立ち並ぶ大都市ではありませんから、消防本部のクルマも含めて、10トン車クラスのものは、この辺りでは、あまり必要がないようです。
1台の消防車に5、6人の団員が乗っていましたが、みんな、普段着姿のままでした。消防本部の隊員たちは消防服を着ての出動でしたが、消防団の人たちは現場についてからヘルメットをかぶったり消防服を着始め、その人数が見る見る増えていきました。
気がついてみると、アパートの隣にある公民館の広場にも10台前後の車が集まっていました。この人たちも、野次馬ではなくて、消防車の後を追ってきた団員たちでした。
たまたま日曜日だったからなのか、誰もがトレーナーにジャージーというような、家でくつろいでいたんだろうなと思う姿そのままで、一見、野次馬の人たちと見分けがつかないほどでした。
その大半が、20代、30代の若い人たちで、体格もまちまちの「その辺にいる」お兄さんたちで、メガネ姿の人も少なくありませんでした。
この地域では、こんなにも大勢の若い人たちが消防団に入っているんだということを知って、頼もしいと思いましたね。消防本部の隊員とそん色ないくらいに緊急出動ができて、消防車や機材もよく手入れされていて、しかも、消防車に乗りきれなかった人たちも、後から後から駆け付けてきたのですから。
消防車に乗ってきた人たちだけで50人くらい、マイカーで駆け付けた人たちも20~30人。5分、10分の間に百人近い消防隊員、消防団員が駆け付けたのですから、ある意味、圧巻でした。
地域の団結力というか、防災意識というか、支える人たちの自覚や参加意識の高さに、本当に、頼もしさを感じました。
田舎ではあるのだけれど、そんなに田舎でもない。ホワイトカラーのオフィス・ワークの仕事は少ないとは思うけれど、農業、工業(電気、自動車の本工場や関連の下請け工場)、運輸、それぞれに若い人たちが支えている大都市近郊地域です。
さまざまな製造業界、流通業界の仕事があることが、この群馬県に若い人たちが根付いている理由なのだろうと思います。
その若い人たちが、こうして消防団に入っていることが、おじちゃん・おばちゃん、じいさん・ばあさん達にとって、あるいはまた、ジャリンコどもにとっても嬉しくもあり、ありがたくも思う、そんな田舎なのだと実感しました。
さて、ところで、わたし自身は、もう若くもないため、消防団で役立つ身だとは思っていませんが、クルマの免許証と一緒にドナーカード入れていて、万一のヤパイ時には使える臓器は全部使ってもらって構わないことにしています。また、医学生の教材になる献体に使ってもらって構わないと思っています。
でも、やっぱり、消防団員になれたら、カッコいいだろうなぁ・・・。
それで、だから、思うのです。自分をどう役立てたらいいのか、と悶々としている人がいたら、提案しておきたい。とりあえずでもいいから、まずは、消防団に入ろう、と。
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