今度の大震災で動員された自衛隊員は10万人で、行方不明者の捜索で救出した人々の数が2万人近い。
自衛隊を賛美する声も上がるはずだ。なにしろ、メディアは自衛隊の活躍しか報じていないのだから。
消防庁の報告では、今回の災害に派遣されたのは6千人弱である。警察庁の発表はないが、もともと旧・自治省管轄の地方公務員であれば、同様の規模だと推察される。合わせても2万人以内だろう。その彼らが救出したのが1万人弱である。
大雑把にすぎるかもしれないが、自衛隊は5人で一人を救出、消防と警察は2人で一人を救出した計算になる。
メディアは、なぜ、自衛隊ばかりをヨイショするのか。その意図を深読みしておく必要がありそうに思っている。
消防や警察など、日常の地方行政に当たっている地方公務員は、今度の災害でも、地元の公務員と同じように、避難所にいる被災者と同じ生活をしている、という話を聞いた。つまり、被災者と同じ配給食だけで活動しているのだ。
これに対して自衛隊は、野営も業務のうちであるから、食事などは、戦闘用に充分なものが支給される体制にある。
装備面でも、ヘリコプターの所有台数は、陸上自衛隊が600機以上、防災ヘリ、救命ヘリなど消防・警察の全国の所有台数はこの10分の1である。
少ない予算と困難な条件のもとで命がけの働きをしているのは、むしろ、消防・警察であり、彼らこそ、もっと、称賛されるべきではないのか。中でも救助・救援の専門家である消防の活躍こそ紹介されるべきである。その報道はあまりに少なすぎる。
それにしても、福島原発を巡っては、改めて政府その他の無能ぶりが浮かび上がったように思うのが、今頃になっての東京消防庁への出動要請である。警視庁や自衛隊よりもすぐれた放水車があることが、今頃になって分かったというのか。今の政府には、情報を発する能力も、情報を集約する能力も欠如している端的な例になってしまった。なぜ、あらゆる組織の知恵と情報の総動員ができないのか。首相官邸が自分たちの主導権にこだわり過ぎて情報音痴に陥っているからに他ならない。彼らは早々に退陣すべきである。