今シーズンの日本人メジャーリーガーの中で、ある意味もっともその動向が注目された、と思われる松井秀喜の今シーズンの所属先が、ようやく決まりました。
松井が新天地に選んだのはタンパベイ・レイズ。ニューヨーク・ヤンキースやボストン・レッドソックスと言った強豪ぞろいのアメリカンリーグ東地区に所属。タンパベイ・デビルレイズ時代の球団創設期は万年最下位の弱小チームだったのが、チーム名とユニフォームのデザインを変えた2008年にはワールドシリーズにも進出し(フィラデルフィア・フィリーズに1勝4敗で敗退)、ここ2年間はワイルドカードながらもプレーオフに出場するなど、今や強豪チームの仲間入りをしております。
もっとも、松井がレイズに入団したところで、レイズの外野陣およびDHのポジションの競争が激しいことは最初から言われていた話。外野手はマット・ジョイス、B・J・アップトン、ベン・ゾブリスト、デスモンド・ジェニングスの4人がおり、DHは本職が外野手であるルーク・スコットもおります。現在故障のために60日DL入りしているため、現在は競争相手に数えなくてもいいのですが、去年レイズに加入して小さい体を駆使したスーパープレーを連発し、ファンから「スーパーサム」のニックネームも頂戴したサム・フォルドもチームに在籍。チーム内のポジション争いが非常に激しいチームであります。しかも今回の松井はメジャー契約ではなく、マイナー契約からのスタート。レギュラー争いをする前にメジャー昇格をかけた争いをしなくてはならない厳しい立場にあります。
とはいえ、例年より厳しい立場にあるとは言っても、チャンスがない訳ではありません。今回の松井の契約が単なるマイナー契約ではなく、ロースター40人枠に入った状態でのマイナー契約なら、十分にレギュラー争いができるものと思います。まあ、今年は実戦から離れておりますので、実戦のカンを取り戻すべく、1か月ぐらいはマイナーで試合に出場する必要はありますが、ジョー・マドン監督は松井をチームのプレーオフ出場のためのカードと考えている節があります。今はある程度レギュラーが固定されている状態ですので無理に松井をメジャーで起用する必要はない。しかし、シーズン終盤に差しかかり、チームがプレーオフ出場をかけた状況になった時こそ松井の経験が生きる。日本にいた頃から大舞台での戦い方に慣れているし、ヤンキース時代にはワールドシリーズMVPにも輝いている。マドンも松井が7月以降に戦力になってくれればいい、と言うぐらいの感覚でいるのかもしれません。
しかもレイズの外野陣は頭数こそ揃っているとはいえ、それぞれに一長一短を抱えております。強打のジョイスは左投手を苦手にしており、2002年のドラフト全米2位のアップトンは毎年のように素質開花が期待されながらも、集中力を欠いたボーンヘッドを連発する悪癖から首脳陣の信頼を失い、かつ今シーズンで契約が切れることからシーズン途中の放出の可能性もあり、ゾブリストは現在はライトを守るチームの中心打者の1人ではありますが、もともとの守備位置はショート。内外野どこでも守れるユーティリティプレイヤーでもありますので、いざと言う時にはセカンドでの起用が可能。ジェニングスはマイナー時代からカール・クロフォードの後継者と目されていたスピードスターですが、いかんせん故障が多いのが難点。DHのスコットにしても左投手を得意にしている訳ではなく、以前と比べると長打力も落ちていることから、シーズン通しての活躍に疑問符が付く。おそらくレイズの今回の松井獲得は先を見据えた戦いをするためのカードの確保、と言った意味が非常に強いと思います。もちろん、本人の力が全盛期ほどではないにしろ、メジャーの第一線で十分活躍できる、と言う実力面での前提条件はありますが、それでも今シーズンの松井についてはスポーツマスコミが言うほど心配することはないように思います。
実戦からかなりの期間離れておりますので、まずはマイナースタートとはなりますが、ロースター40人枠に入っているのなら、メジャー昇格は時間の問題と考えてもいいように思います。背番号55は今シーズンの新人王最有力候補のマット・ムーアがつけていますので55番のユニフォーム姿は見られないかもしれませんが、それでも夏場にはこれまでの鬱憤を晴らすように打ちまくる松井の姿をぜひ見たいものです。