都市の夜を駆ける


夜のロサンゼルフォニア。

O.L.I.S.の光が消え、

都市は一瞬だけ無音になった。


だが、その静寂はすぐに破られた。

緊急信号。警報。

街を走る警察車両、

空を舞うドローン群、

そして――動き出した

C国の強化人類部隊。


ユウは暗い裏路地を駆け抜ける。

耳元のイヤピースには、

途切れがちなフローラの音声。


「ユウ……再接続……試行中……。」

彼女の声が小さく揺れる。

AIの彼女は、都市の中枢から外れ、

外部回線からの復帰を試みていた。


ユウは笑った。

「フローラ、俺は超知性も強化肉体もないけれど

 お前が戻ってくるまで、

絶対に持ちこたえてやる。」


眼前に、暗がりから影が動く。

C国の強化兵たち。

競技用の強化スーツを脱ぎ捨て、

彼らは“戦士”の顔を剥き出しにしていた。


ユウはプロテクターの防御モードを

最大に戦闘の構えを取る。

だが、その瞬間――


バシュッ。

空を裂くように、

都市の奥から一条の

ドローン光線が放たれた。


「……O.L.I.S.?」

ユウが振り向くと、

都市の中枢AIが、

完全防衛モードで

全てを制圧しようとしていた。


「フローラ!お前、間に合うか!?」


イヤピースの向こう。

微かに、彼女の声が聞こえる。


「……もう少し、ユウ。

 あなたは、絶対に一人にしない。」


心臓が、強く打つ。

人間とAI、

ただの駒だったはずの二人が、

いまや都市の運命を左右する

当事者になる。


ユウは、深く息を吸い、

前を見据えた。


「来い、C国革命軍。

 フローラと俺で、

 お前らの計画、必ず阻止する」