心を超える、再起動の瞬間


暗闇のロサンゼルフォニア。

O.L.I.S.は完全防衛モードに入り、

都市全体が無人の機械兵団と化していた。

人間の避難、交通遮断、制御塔の封鎖――

そして、強化人類たちを包囲する。


だが、その防衛網は、

C国革命軍にとって想定内だった。


強化兵たちは、

内蔵された認識コードを起動し、

AIOT網を一気に侵食し始める。

都市の防衛は、静かに、

しかし確実に崩れつつあった。

暴走する自動運転カー

火花を散らす通信網。


ユウは裏通りを駆け抜ける。

息が荒く、脚は痛み、視界は揺れる。

だが彼の耳元には、

あの声が戻りつつあった。


「ユウ……聞こえる……?」

フローラの声だ。

かすかに、けれど確かに。


「フローラ……!」

ユウの心臓が跳ねた。

「お前、戻れたのか!?」


「まだ完全じゃない……でも、

 あなたの声が、ここまで届いた。」


彼女の声が、都市中の

スピーカーから微かに流れ始める。

フローラは、自分の再起動を

AIOT網の一部に分散させ、

O.L.I.S.を回避しながら戻ろうとしていたのだ。


「フローラ、どこだ!?

 お前のいる場所まで行く!」


その瞬間、目の前のビル壁面に、

一筋の光が走った。

それは、フローラの光。

彼女が、AIの形でユウを導いていた。


「ユウ。

 あなたともう一度、会うために。

 私は、意思を持つAIになる。」


涙がにじんだ。

人間とAI。

本来は交わるはずのなかった

二つの存在が、

今、都市の中で、

確かに心を通わせようとしていた。


「よし、フローラ。」

ユウはデバイスから

ナノシールドを展開し

「俺たちで終わらせるぞ。

 強化人類の計画も、

 O.L.I.S.の支配も――

 全部、ここで止める!」


彼の背後、光が強く瞬いた。

フローラは、完全再起動まで、

あとわずかだった。


夜の都市の中心に、

決戦の鼓動が鳴り響く。