さて、

 
私を驚かせてくれる
トリートメントはないかと
街をぷらぷらと歩く。
 
ベトナムの街は暑く、
3月とは思えない日差しに
歩道の石畳に壊れていない所は無い。
何処に秩序があるのかというような
運転のスクーターの流れに、
道端で開かれるお店。
 
酷く雑多だけれど、
それがベトナムなんだなぁーと歩く。
私は暑いのは嫌いだが、
ベトナムは何故か耐えられる。
何件かある街スパを通り過ぎて、
一番気になった所に戻って
入ってみようと、何件かをやり過ごす。
 
一件、賑わっている所があった。
悩んだけれど、通り過ぎる。
 
その角を曲がり、
少し進むとまたスパがあった。
お店の外にはメニュー表が出ている。
価格を確認して。
良さそうな気がして飛び込んだ。
 
入るとまだ準備中なのか、
レセプショニストが少し慌てている。
セラピストは特に気にする事無く
掃除を箒で続けている。
 
お店の中が暗い。
物凄く暗い。
少し怯んだ。
セラピストは片手に箒、
片手にスマホで掃除している。
光るスマホの画面に
小さな男の子と女の子の写真が見えた。
この人の子供だとしたら
幼過ぎる気がしたので
孫ではないかと思う。
壁紙が孫の人が働いているお店なら
安心な気もした。
 
と自分を宥める傍から、
 
違うマッサージのお店だったらどうしよう!
そういうお店なのに女が入って来たので
レセプショニストが慌てたのかも!
女なので変なサービスは無いにしても、
そんなお店じゃトリートメントは
期待出来ないではないか!
 
と焦り、高い天井を見上げると
大きな観音様とブッダの絵が描いてあった。
 
そんなお店がこんなにデカデカと
そんな絵を掲げるだろうか!
 
と自分を励ました。
 
だけど、暗い、暗いのよ。
インテリアも耽美的なのよ...。




不安な時は仏陀と観音様を
思い浮かべて安心しよう。