「アレってあのためにあるのかな?」気付いた時には遅かった。アレとは、リュックに付いてるアレ(名前が分からないのでアレとします)。
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単色のつまらないリュックにアクセントを加えてるアレ。何のためにあるのかは分からない。が、あったらおしゃれだな、程度で付けているのだと思う。そのアレに対して、
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お守りを付けているヤマモト。
 「アレってあのためにあるのかな?」そう言った後ろにいる女子達に気付いていなかった訳じゃない。センター試験も終わり気分が高ぶり友達との話に集中して気にしていなかっただけだ。だいたいの受験生が根津駅へ歩いて行く中ヤマモト達は反対の湯島駅に向かっていたため声が空に響いていたた。「いや、絶対あのためじゃないよー」片方の女子が言う。「でもさぁ、お守り吊すのに丁度良すぎない?」「でも、私けっこー前にアレにキーホルダー付けてる人見たことあるよ」この時、ヤマモトは既に恥ずかしくて自分の話に集中出来ず、後ろの女子達の話しか頭に入ってこなかった。ヤマモトは、このタイミングでリュックを体の前に持ってきて女子達の話を終わらせられなかった。何かに負けてしまう気がしたからだ。それは、恥ずかしさなのか、気付かれたと思われることに対してなのか分からない。女子達がヤマモトのリュックのアレについて笑い声があがる度にわさびを食べたときのツンッとした様な感覚がした。でも、心は心地良い。その時思ったことは「ドMって無敵」
 

 その部屋は他とは違う匂いがした。中には男が何人かいたが男達は目も合わさず自分のことに集中していた。中には扉が2つあり、すべてが赤い信号を出していた。ヤマモトは「まだか…」そう一言呟くと再び気持ちを引き締めた。ヤマモトは既に限界を越えていた。顔は青ざめていた。ヤマモトは腕時計を確認し「あと20秒が限界だ」
 20秒。ヤマモトはその数字を見誤っていたことにまだ気付いていなかった。刻々と秒針が時を刻み、10秒を過ぎた時だった。この世のものと思えぬ痛みが走った。「10秒だったか…」そう呟き扉を2回叩いた時だった。中から何かが流れる音がし、扉の赤い信号は青に変わって知らない老人が出てきた。老人は笑顔で出てきたが、ヤマモトはその笑顔を見る余裕もなくすぐにその扉を閉めてズボンを下げた。


 昼過ぎに家から5分とかからないコンビニへ行った。ヤマモトはいつもそのコンビニへは何か買うでもなく、雑誌の立ち読みと散歩くらいのつもりで行っていた。がいつもそれでは申し訳なく思い、たまには何か買おうとアイスコーナーでバニラアイスとお菓子コーナーでToppoを手に取った。
 昼過ぎというのもあり、レジは混んでいてお弁当やらカップ麺やらを持った人が列を作っていた。その列の後ろに並び待っていると、アルバイトの女の子がもう一台のレジについた。「二番目にお待ちのお客様どうぞ」まだ新人の子なのかそれを言うのが少し幼く感じる。列の二番目はヤマモトの前の弁当を持った人なのだが、その人はどうぞと譲ってくれた。その人の前の人が終わりそうだったからだ。ヤマモトは軽く会釈をしてその子のレジ台にアイスとToppoを置いた。
 その子は不慣れな手つきでバーコードを読み取り、レジを打ち最後にヤマモトにこう言った。「温めますか?」