もしも団体旅行の幹事になってしまったら(7)-出来るだけ公平にプランを決めるためには?- | 感動!トラベル研究所

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“一生に一度”を旅でデザインする感動トラベルプランナー須田くにひこです。

「へぇ~、そこまで人気が分かれるなんて珍しいな」

電話口の向こう、佐々木先輩も少々驚いたようだった。旅行先アンケートの結果が出た日の夜、佐々木先輩に改めて相談の電話をかけた。どうしようか? 考えてはみたもののロクなアイデアも浮かばず、結局、また先輩に相談しようと思ったのだ。

しかし次の先輩から出た言葉で、俺はさらに落胆することになった。

「いや、俺が担当していた時はここまで人気が分かれたことなかったからな……」

えっ? そうだったのか! じゃ、先輩でもこんな経験はしてこなかったのか……

先輩も「う~ん……」と考えてくれているようだったが、最後の望みの糸が切れてしまったようで頭の中は真っ白になった。

しばらく沈黙が続き、その重苦しさに耐えかねて俺は先輩に告げた。

「先輩、すいません。もう会社を辞められたのに、いつまでも頼りきりで。俺、もう少し考えてみますから」

すると、先輩はおもむろに口を開いた。

「そもそも何でここまで人気が分かれたのか? その理由が分かればいいんじゃないか?」

「そうですけど、全員にいちいち話しを聞いて回る時間なんてないじゃないですか?」

そう言う俺に先輩は、ちょっと待てと言いながらこう続けた。

「初野、さっき高田はコースとしては山梨推しだけど、清水港のクルーズもいいって言ってたんだよな?」

「ええ。本当に人の苦労なんて全く考えてないんですよ」

「それだ! 例えば高田のように山梨を推しながらも、他のコースの体験や見学場所、宿の方が良かったと思っている人もいるだろ?」

確かにそうだ。自分が推した以外のコースにも、興味がありそうな場所はありそうだ。俺も個人的には静岡のコースが気になったけど、カヌーの体験にも興味があった。

「それなら、どのコースが良いかっていうアンケート意外に、もう一度それぞれのコースの体験や見学場所、宿で気になる場所をあげてもらうアンケートをすればいいんじゃないか?」

えっ? どういうことだ? まだ頭が整理出来ないままでいると先輩が続けた。

「どのコースを選びますか? って言うんじゃなくて、それぞれのコースの中でどの場所が気になりますかって聞いてみるんだ。複数回答式にしてな。そうすれば、そこで人気があった見学場所や体験内容を多く含んだコースを選べば絞れるんじゃないか?」

そうか! その手があったか!

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“一生に一度”を旅でデザインする感動トラベルプランナーの須田 久仁彦です。

前回のブログでも書きましたが、コースを決定する上での解決方法は様々です。今回のように出来るだけ公平に決めて行こうとすれば、佐々木先輩が気付いた通り、それぞれのコースのどこが良いですか? と改めて聞いてみるのも一つの方法です。

例えば今回の場合、高田君は静岡コースの清水港クルーズは惹かれるけど、ワイン作りとカヌー体験が良かったから山梨コースを選んでいます。このように山梨コースを選んだ人でも、静岡や栃木のコースの中に、この見学場所や体験は良いと思われる場所が含まれている可能性が高いです。

そこでコースを選ぶのではなく、それぞれのコースの見学場所や体験で気になった場所を複数回答式のアンケートで聞き、最も人気がある場所が多く含まれるコースを選ぶのです。

さて次回、いよいよコースは決まるのでしょうか?