昨日、とうとうあのケーシー・アンソニー事件 (娘ケーリーちゃんが殺害された事件)の判決が降りました。陪審による判決は、殺人については(計画性のあるなしに関係なく)全て無罪で、警察への虚偽申告について軽罪(misdemeanor)4件を認めただけでした。
検察側には状況証拠しかなく、また地元では事件に関して先入観を持たない陪審員を確保するのが難しいということで、他地域から陪審員を集めたことからも、OJシンプソン事件と似ていると言われたこの事件。
事件が起きたのはここから車で一時間弱のオーランドだったので、比較的早い時期からニュースが耳に入って来ていました。
正直、子供~ティーンエイジャー、特に女の子が行方不明になる事件ってのは珍しくなく、ボランティア総出で2~3日間探しても見付からない、となると、本人がわざと雲隠れしているような場合を除けばまず残念な結果に終わってしまうことが殆ど。ケーリーちゃんの場合も同じでしたが、遺体が発見されたのは何と半年後、しかもボランティアが何度もくまなく探した、自宅のすぐ近くという結末。
正直言って、あれだけしつこく地元テレビで何度も報道されていたら、特に興味がない人でも、母親であるケーシーが無罪か有罪かについて、自分の考えを持ってしまうのが当たり前。
一人娘が失踪した後にショッピングやパーティーを楽しむ姿(ソースは店の防犯カメラの画像や友人の撮影した写真)もテレビ各局で公開されてました。
ケーシーは高校中退後定職に就かず、母子で実家にパラサイトしていたのに、なぜか「ナニー(子守)」がいて、その女性がケーリーちゃんともども失踪した、というのが当初のストーリー。ちなみにアメリカでナニーというのは普通、住み込みあるいは通いで、週末を除けばほぼ専属・フルタイムでずっと同じ家の子供の世話をする、いわゆる一家の使用人。
働いてもおらず、旅行や入院などの事情があるわけでもないのに、自宅外に住む「ナニー」に30日間も娘を預けっ放しってのもおかしいし、どうやってナニーの給料を払っていたのかと思ったら、このナニーは架空の人物だったことが判明。同じ街に住む、この架空のナニーと同姓同名の女性は厳しい取調べを受けてひどい迷惑を被ったらしい。
このあたりで、良識ある人ならばまずケーシーという人物はまともじゃなさそうだと思ったはず。(実際、裁判において検察側は彼女のことを「病的な噓つき」と呼んでいましたが、精神鑑定ではシロだったので裁判は続行。)
しかしこの他にもすごいことが・・・
マスコミの取材攻勢で大変だったことは想像できますが、そんな時に何とケーシーの両親が、「週7日、24時間オンコールのボランティアのパーソナルアシスタント」を募集するとマスコミに公言したんですね。取材自粛のお願いではなく、メディアへの露出で忙しいから無償のパシリが欲しいということらしかった。
パーソナルアシスタントってのは要職にある人や芸能人が雇うものなのに、ちょっとセレブ気取りにも程があるのでは、と。それまで熱心に捜索のボランティアをしていた人々も一気にしらけムード
。ちなみにこの両親も何か妙な人々なんだよね。父親は元警察官(殺人事件の刑事だったという情報も)で、母親は看護師なのに、孫の失踪?溺死?への対応がその筋の人たちとは到底思えない。
ここまでアンソニー一家に協力してるのに、娘であるケーシーは警察の取り調べに非協力的で全然新しい手がかりが出て来ず、結果「ケーリーが自宅付近を徘徊するうちに事故に遭った」というシナリオで、自宅の周囲を何度も何度も捜索するしかなかったらしい。その、何度も何度も捜索した所から6ヶ月後に白骨化した頭部が見付かったわけで・・・
ちなみに、「ケーリーが不慮の事故によりプールで溺死。幼い頃からの性的虐待を通してケーシーに圧倒的な影響力を持っていた父親が、ケーシーを伴って孫の遺体を隠し、破棄した」というストーリーはこの裁判が始まって初めて出てきた話なんです。その前は、プールとか、溺死とか、そんな可能性を示唆する検死結果などは全然発表されてなかったし、ケーシーが家族から虐待を受けていたなんて話もゼロ。
働きもせずに実家に居座って遊んでばかりなのに、当時の彼氏との外泊が連続30日を越えるまで親には問い詰められなかったらしいし、トランクから異臭がしたという「ケーシーの車」も、実は両親所有。ケーシーによって乗り捨てられ、挙句レッカー移動されたその車を、多分数百ドル以上払って引き取ったのも両親。どう考えても好き放題やってたとしか思えないんですが。虐待にも色々あると思いますが、少なくとも、弁護側が主張するように、ケーシーが父親の影で常に怯えて暮らしていたようには見えません。
そんなこんなでオーランドはもとより、タンパベイエリアでもかなりの人がそれなりの先入観を持っていたこの事件。地元オレンジ郡で先入観のない陪審員を集めるというのは至難の業ということで、タンパベイの一部であるピネラス郡から陪審員を集めることに。
しかしこの不景気の中、8週間かかるといわれたこの裁判の陪審員になりたがる人はまずおらず。8週間、家族とも離れてオーランドのホテルに缶詰、テレビや新聞も見られず、インターネットや携帯電話も使えない。家族との面会や電話も監視付きですよ。予備選抜で選ばれてしまい、どうしても本選抜から落とされたいがために嘘をつき、それがバレてしまった人がいたのですが、法廷での虚偽申告は重罪です。数百ドルの罰金とともに、1~2日収監されてました。ついにはホームレスシェルターで陪審員候補者を探すべきだなんて話も出てきたし(TVやネットにもあまり影響されてないだろうし、彼らにとっては陪審員の日当は素晴らしい報酬になるはず、という理論)。
しかしながら、この事件をベースにした映画やドラマの話も持ち上がっているようで・・・タンパベイの住民としてはもうお腹一杯、しばらくこれ関連のニュースも聞きたくないんですが、仕方ないですね。