(『その13』から つづく。)
前回、米サスペンスドラマのシーズン最終話みたいな “ 振り “ で終わっておりますが。
恐らく、当連載に於ける 最大かつ最後(← 見込み)の “ 大事故 “ 発生。
今回、ホントに『最終回』となるのかどうか。
と、その前に。
残りのハード類の取り付けを済ませます。
とは言っても、あとはこれだけ。
●ストラップピン取り付け
この時代の『Ibanez』オリジナルと思われる「V字」のストラップピン。
連載当初にも書いた気がしますが、正直 苦手です。
ストラップが 付け難いし/外し難い・・・ってゆーか、むしろ 付けられないし/外せない。
ストラップピンの裏のボス部分に突起があるので、本来は恐らく “ 回らない “ 想定なのだろうとは思いますが取り付けの正式な向きはよく分かりません。
『RR550』についてはプラ製の座が使われていてそちらが滑ってしまうので、100% 回らない様に強固に固定するのは難しい。
リア側 ↑ は前オーナーが開けた(と思われる)センターの穴を利用した方が使い勝手はよさそうですが、とりあえずオリジナル(のはず)の方を使用。
この後の弦高調整など、弾きながらの作業も多くなりそうなのでストラップを取り付けてしまいます。
やっぱり 15年前の私自身のチョイスにセンスが感じられないのですが、この機体は恐らく他人様の前で弾くことは無かろうということで、暫定的にこの蛍光イエローのストラップをそのまま流用することにいたします。
このストラップの仕様だとリア側は革が二重の分厚い構造で/穴のスリットも短いので、この V字ピンでは絶対に後からは嵌められません。(← これだけは断言出来ます。)
なので、ボディに直接ビス止めする感覚でストラップピンと同時にストラップも止めてしまいます。
さて。
問題の “ 大事故 “ について。
前置きが ちょっと長くなります。
「V字のストラップピン」以上に苦手な要素がありまして。
この機体に限らず、「圧入式のコントロールノブの 付け/外し」が苦手です。
“ 圧入式 “ とか言うと何だか大仰な感じですが、要するにポットのシャフトにノブをギュッと押し込んで固定するタイプ。
基本的に樹脂製のノブとポットのセレーション(ギザギザ)を合わせて、あとは力任せに・・・ということになります。(圧入なので、外す際にも力任せにならざるを得ません。)
因みに、このセレーションの規格には「ミリサイズ」と「インチサイズ」があり、この組み合わせを間違うと全く嵌まりません。
(基本的に国産ギターは「ミリ」の可能性高いですが、場合によっては米国製パーツ仕様で「インチ」というケースもあります。)
一方、” 圧入式 “ ではないタイプは何と呼んだらよいのか分かりませんが、基本的に金属製のノブの場合がこれに相当。
ノブの穴はストレートで、横からイモネジで固定します。
ギター用のポット(可変抵抗器)は、基本的にシャフトが「セレーション+すり割り」のものが使われております。
対して、電子パーツ屋さんで扱われている一般的なものはシャフトがストレートで、合わせて使うノブは樹脂製のものであっても金属性のインサートが嵌まっていてイモネジで固定することになってます。
(ここまで「基本的に」を多用しておりますが、例外もあったりするので その逃げとして。)
で、本題。
当連載、そもそもは固着してしまったポット 3基を交換するのが目的でありました。
交換用のポットはギター用パーツとして売られているものからチョイスして購入。
その際、ボリュームのカーブの選択を誤って買い直し/取り付け直しなどしておりますが、これに関しては通説や個人的好みの問題もあるので比較的高次元なところ(?)の選択のお話。
私の場合、当連載の随所にて露見してしまっておりますが、もっとプリミティブなところで「ミリ/インチ」を間違えたりというのはありがちなので、そこは十二分に注意を払っておりました。
ポットのハンダ付けの前に念の為ノブを軽く嵌めてみて「ミリ」同士なのは確認しております。
しか〜し。
最後の最後、本格的にノブの取り付けの段になって初めて気付いた「これはミスチョイスだったかも・・・。」という事実。
この『RR550』のノブは、これまたこの時代の『Ibanez』(+ GRECO)オリジナルと思われるゴムのリング付きの透明樹脂製のタイプ。
まず 外すのに慎重を要します。ボディに傷を付けない様にウェスで保護しながらマイナスドラーバーでこじたり・・・という感じ。
差し当たり、今回は連載の最初の方で難無く外せていたので特に問題はありませんでした。
んが。
今度は嵌める方のお話。
私がこれまで見てきたギターのポットのシャフト、恐らくですが「アルミ(ジュラルミン?)の引き抜き材」かと思われます。
今回のリペアで購入した『SCUD』のポット、シャフトは恐らく「真鍮の削り出し」ではなかろうかと。
シャフトの色が金色で、セレーションの平面部分にはカッターマーク(らしき筋)が見られるので。
う〜む。
これはピンチかも。
というのは・・・。
アルミの場合はそこそこ柔軟性のある “ 優しい “ 仕様なのに対し、真鍮は “ 容赦無い “ 硬さの上にカッターマークでスムースさが阻害される要素の上塗りという状態。
更に、『RR550』のノブの材質が透明樹脂という、これまた柔軟性の無い “ 容赦無い “ タイプです。
対して、よくある白や黒の不透明な樹脂のノブは そこそこ柔軟性のある “ 優しい “ 仕様。
・・・と考えると、「真鍮製のシャフト」と「透明樹脂製のノブ」って、組み合わせとしては最悪な気がする。
更に、改めて見ると。
元の『RR550』のポットと新規購入の『SCUD』のポット、シャフトの高さ自体は概ね同じですが、セレーション部分の高さが違ってる。
ってことは、ノブが嵌る深さに影響がありそう。
これは 後戻り(ポットの選択からやり直し)した方が懸命かも・・・とは思いましたが。
まあいいや。
行けるところまで行ってみよう。
で、行ってみた結果が ↓ こちら。
一番右のマスタートーンのノブ、ちょっとキツい感じではあったものの「何とかなりそう。」と判断してそのまま一気に押し込みました。
ちょと「ゴリッ!」というイヤな感触な上に、やはり奥まで嵌り切っていない。
ノブのセレーションがナメてしまってる可能性大なので、もう後戻り出来ない・・・ってゆーか、後戻りしないことにする。
次に、真ん中のリアP.U.用ボリューム。
これは意外にすんなりという感じで完了。深さ的にも及第点・・・ということにします。
そして。
最後、一番左のフロントP.U.用ボリューム。
マスタートーンと同様のキツい感じあり。とはいえ、” もう既に 一度やっちゃってる “ のでここはもう前に進むしかない。
再び「ゴリッ!」というイヤな感触を味わいつつ、一気に力で押し込むと・・・。
「ズコッ!!」
何が起こったのかよく分かりませんが、シャフト部分がポットの中にめり込むと同時に、裏ではポット本体がブラブラな状態に・・・。
もう二度と外せないかもと思いながらもノブの下にウェスを巻いたドライバーを突っ込んでなんとか外しました。
実際にシャフトがポットにめり込んでいる。
アース線だけハンダを外してポット本体を取り出してみると・・・。
ぬあんと!
ポットのケースのツメが開いてしまっております。
ナルホド。
ノブを力任せに押し込むにしても、ポット自体に余計な負荷が掛からない様にちゃんと裏側から押さえてサポートしろってお話なのね・・・。
改めて新品のポットも購入しましたが、とりあえずケースのツメを掛け直して音出ししてみたら音は出たのでそのまま使ってしまう。
(但し、まだ弦を張ってないので音叉で確かめただけだし、そもそも このポット本来の性能を取り戻せているのかどうかも「?」ですけど。)
再度、フロントP.U.用ボリュームのノブを取り付け。
やっぱりノブのセレーションが幾分か破壊されてしまった様子ではありますが、いずれにしても もう元には戻らないので改めてこのまま前に進んでしまう。
結果、ノブの高さが不揃いで/且つ全体的にオリジナルの状態より大分浮いてしまっていてアレですが、まあ仕方ない。
あと。
フロントP.U.ボリュームのノブ(画像左)ですが。
今後、もう二度と外さない方がよさそうです。
セレーションのボスが円状に透けて見えておりますが、その円の一部が気泡が入ったかの如く薄っすらと白化しております。
即ち、これはボスの根本にクラックが入ってヤバいことになってる証左に違いないのでございます。(右の無事な方はボスの円がキレイにクリアーに見えてます。)
恐らく、これは外そうとするとボスごとポッキリ逝ってしまう可能性が高いということで。
という感じで『最終回』のつもりが長〜くなってしまったので、次回 ホントの『最終回』・・・のつもり。
弦を張って調整して終わり・・・のつもり。
(『その15』に つづく。)
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