”なんちゃって"にもほどがある『Rickenbacker 325 “風”』JLモデル 【2/4】 | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

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  FLOATING JAM & FJスズキ の 『日常と非日常』



『その1/4』から つづく。)




私が最初にギターを手にしたのは中学2年生の時。
アコースティックギターでした。


当時、ギターとして一番欲しいのは『Rickenbacker 325』ではありましたが、エレキを持ってバンドを演るイメージはまだまだ乏しく。
(妄想だけはしてました。)

その時点では むしろ、『Yesterday』を弾き語りたいという動機でアコースティックを選択。
 

 

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《2020/04/25 追記》
因みに。
『Yesterday』に至る経緯は、旧ブログで語っております。

FLOATING JAMの『元祖・浮いたり沈んだり』
 ● これもまた、「我が青春の 1ページ」なのだ。 (1/2)
  2012-03-25 記事
 ● これもまた、「我が青春の 1ページ」なのだ。 (2/2)
  2012-03-25 記事

当初、ジオシティーズ の簡易ブログに掲載。(現在は Hatena Blog に移転済み。)
掲載当時に 故『荻嶋正己』アナ 直々のコメントをいただいておりましたが、一度目の移転の際にコメントは移行出来ずに消失しております。
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高校生になって、「バンド」というものが現実味を帯びて来た時点で改めて 325 が欲しくなりました。


いや。
実際には、欲しかったのは『Rickenbacker 325』ではなく、『グレコ』もしくは『アリア プロ II』の リッケンモデル だったわけですけど。
“ ホンモノ “ なんてのは、完全に「想定外」でしたので。

結局、高一の時に兄の グレコ の ストラトタイプ を 1万円で譲り受けたのが、私の最初のエレキギターとなりました。
(「バンドでビートルズ」が実現したのはずっと後、大学 4年の時。)



グレコ もしくは アリプロ の リッケンコピーモデル。
当時、もしこれらを入手出来たとしたら・・・という前提の下、私の脳内で「如何に “ ホンモノ “ に近づけられるか?」という妄想が繰り広げられておりました。
そして この妄想が『プロジェクト』の出発点となるわけです。


改めて。
● グレコ RG750B

 

● アリア プロII RG-750B



当時は、カタログに穴が空きそうなくらいに 日々 眺めて暮らしておりました。
まあ、実際にはこの 7〜8万円くらいのコピーモデルとて 高校生の私にはとても手の届く代物ではなかったのですけど。



“ ホンモノ “ の 325 の情報は かな~り乏しかったにも関わらず、これらコピーモデルについては 明らかに許容出来かねる「欠点」がありまして。

目指すところの “ ホンモノ “ は、概ね この ↓ カタログの上段 2機種のイメージ。
(325V59 の場合も「黒」想定になるわけですが。)

 

 


私が思う グレコ/アリプロ 共通の「欠点」(= “ ホンモノ “ との相違点)としては、

 ◆ 欠点 その1:テールピース
 ◆ 欠点 その2:ヘッドのトラスロッドカバー(メーカーロゴ)
 ◆ 欠点 その3:ピックアップカバーの形状
 ◆ 欠点 その4:その他(ピックガード/コントロール類 など)


但し。

この リッケンバッカー『Vintage Series』のカタログを入手したのはずっと後のお話。
繰り返しになりますが、今でも(リイシューものも含めて)現物を目にする機会は めったに無いので 325 に関しては私としてはよく分かっていないところが多々ございます。
ネット上でかなり画像を探したりもしましたが、むしろ画像から読み取れないところについては モヤモヤ感が募ります。

従って 当時の尚更情報が乏しい状況下では、ズバリ一見して分かり易い明らかな「 “ ホンモノ “ との相違点」が より許容し難い「欠点」として映ったという次第。



ひとつずつ見てまいります。


◆ 欠点その1:テールピース

ジョン・レノン使用の 325 に関しては、個体と時期によって テールピースにいくつかのバリエーションがあります。
リッケンバッカー のギターの代表的なテールピースは、頭文字の『R』をかたどった鋳造タイプ。
リッケン・ギターを象徴的する意匠のひとつでもあります。
これに対し、 ジョン機 は “ コ “ の字形のプレートタイプ の他、トレモロユニットが 3種類ほど見受けられます。

グレコ/アリプロ のコピーモデルでは、それぞれ『G』/『P』の鋳造タイプになってます。
さすがにここは『R』にする訳にはいかないと思うので。


ちょっと不可解なんですが。
ギターの世界って、工業製品としてはけっこう特殊な環境なんでしょうか。
ここに挙げている様な仔細な相違は別として、原則 明らかな「意匠のコピー」が堂々とまかり通ってるって・・・。

これまたよくは存じませんが、今現在なら ストラトもレスポールもリッケンも 既にオリジナルの発売から 50年とかが経ってるわけなので もう諸々の権利が消滅している気がしないでもない。
しかし。
バリバリ現役(?)のはずの 30年くらい前の時点でも「(ほぼ)完コピ」という製品が当たり前の様に別のメーカーから販売されていたわけで。

先にも触れた グレコ や トーカイ など、” マジメに “ 当時の本家よりも上質な(・・・とされる)コピーを市場に投入してましたし。
トーカイ のカタログで、ビンテージの再現度を事細かに解説してるものがあったくらい。


もしかしたら、その当時の感覚としては「既に 20年 “ も “ 前のビンテージもの」という感覚はあったのかも。
だからといって「完コピ」が許容され得るものなのか?
おおらかな時代だったってことなんでしょうか。

例えば バイオリン などの古典的な楽器の場合。
どの メーカー/工房の モノも素人目に見る限りは皆同じ意匠(& 構造)。
歴史的にどこかの時点で誰かが現状の形にまとめたはずなのですが、そんな工法や意匠を共有するという伝統的な慣習が 現代の楽器メーカーにも受け継がれている・・・とか。(違うか。)



話が逸れました。




このテールピースの形状違いの解決策。

 ~ 『ビグスビー』のトレモロユニットに換装。


やっぱ、これでしょう。

 

自力で『R』のテールピースを作るなんてのは そもそもムリ。
ただ、もし個人的にメッキ(若しくはそれに相当するレベルの金属質感の塗装など)が可能ならばプラモデルの改造感覚で自作出来なくも・・・なくないな、やっぱり。

ってゆーか、ジョン機 はそもそも『R』じゃないし・・・。


それに対して、実際の ジョン機 にも存在した『ビグスビー』のトレモロに交換してしまえば、それは “ ホンモノ “ に近付く可能性のひとつとなり得るのであります。

当時、楽器店のガラスケースに鎮座していたリプレイス用の ビグスビー のユニット、確か 7,000~8,000円くらいだったかと。
但し、それもまた ” ホンモノ “ だったのかどうかは・・・。
(グレコのパーツカタログに ビグスビー “ タイプ “ のモノが載っているので、もしかしたらそっちだったかも。)


それはそれとして、改めて考えると グレコ も アリプロ もよくこれらコピーモデルのためだけに自社オリジナルの専用パーツなんか作ってたものだよな~と感心してしまいます。

 

 


◆ 欠点 その2:ヘッドのトラスロッドカバー(メーカーロゴ)

これも リッケンバッカー を象徴する意匠のひとつ。
いや、『象徴』というより最早メーカーロゴそのものだし。テールピースの『R』以上に「違ってて当然」。
“ ホンモノ “ は『Rickenbacker』の筆記体をアレジしたロゴ入り。
対して、グレコ は『Greco guitar』/アリプロ は『Aria Pro II』のロゴが入ってます。

リッケンタイプを見掛けた際、真っ先に「これって、ホンモノ?」みたいな感覚でトラスロッドカバーのロゴを確認しちゃいます。

グレコ の方は リッケン に寄せた書体で、より罪が深い(?)気が・・・。


またまた実物をほとんど見たことないのでよく分かってませんが。
325 の場合、「透明アクリル板の裏からスクリーン印刷」・・・ってのが正解でしょうか。
手元の 4003(ベース) に関しては、専用の金型で成形された不透明な白プラスチックに『Rickenbacker』の黒い凸文字。現行シリーズは全般的にこっちの仕様のはずです。


透明タイプのトラスロッドカバーの自作なら何とかなりそうな気がする。

どこかしらの写真から『Rickenbacker』ロゴを拝借し、適度に拡大コピーしてクリーンアップ。
マスキングテープにトレースしてロゴ部分を抜いて、透明アクリル板の裏側から黒で塗装。
あとは白地部分を同じく裏側から塗り重ねて完成・・・という段取り。

今時ならばパソコンと何らかのプリンタ用紙などを使って比較的簡単に再現出来そう。
(ALPS の MD シリーズが使えたら尚よいのですが・・・。)


高校生当時 電車通学の際、車両の非常用ドアコックの説明プレートが正に「アクリル板+裏からスクリーン印刷」という仕様だったので、どうやったらこんな風にキレイに作れるかな~と 毎日眺めてました。


ちょいと厄介なのはアクリル板の加工ですかね。
ノコギリでおおよその外形を切り出して、形状を整えつつ端面をヤスリで仕上げることになるのかと。(ホンモノは恐らくフライス加工。)

こういう作業、若い頃なら不器用ながらも勢いでなんとかしてしまっただろうと思います。
歳を重ねるごとに、脳内でさんざんシミュレーションしたところで疲弊して萎えてしまう傾向にあります。(平たく言うと「面倒臭い」が先に立ってしまう。)

でもまあ、トラスロッドカバーにつていは手間さえ惜しまなければ割と “ ホンモノ “ に近いモノが再現可能であろう・・・という判定。




◆ 欠点 その3:ピックアップカバーの形状

リッケン の旧タイプのピックアップは、ポールピースの上に板が通った いわゆる「トースタートップ」と呼ばれるカバーが付いたタイプ。
要するに、金属の箱の天面に 2本のスリットが空いているトースターみたいな形状です。

現行モデルに関しては、そのポールピース上の板が無くて外周だけが囲われたタイプになってます。
これもよくは存じませんが、磁力線の通り具合を考えると サウンド的には無視出来ない差異ではないかと思います。
いずれにしても私が重視するのは “ 見た目 “ の方なので、やっぱり トースタートップ に拘りたい。


が。

 

まず、グレコ のピックアップカバー。一筋縄では行かない形状になっております。
一見 トースタートップを目指した様に見えなくもないのですが、着地点があまりに不可解。
これは、私の記憶だと グレコ の『グレッチ』コピーモデルに採用されていたモノの流用・・・だと思っておりました。今回 改めて グレコ のカタログを見ても グレッチモデル なんて載ってないし、そもそも グレッチ のピックアップとてこんなじゃないし・・・。
夢でも見てたのか?

いずれにしても、これは どうにもならなそうな・・・。


対して、アリプロ の方は 現行のリッケンバッカーに近い形状。
外周だけを囲った形です。


どっちもどっちという気もしますが、余計なクセがないという意味では アリプロ の方が好みではあります。
従って、ベースとなる機種はどちらかというと『アリプロ』かな~、という感じ。
メーカー的にはむしろ『グレコ』の方に思い入れはあるんですけど。



◆ 欠点 その4:その他(ピックガード/コントロール類 など)

どの時点のどの個体の 325 を目指すのかにも依りますが、ピックガードの色(材質?)とツマミの形状の組み合わせに関しては まあ “ 代表的 “ な仕様に見えるのでよしとする。
ってことはここは「欠点」ではないな・・・。




・・・ってなことを妄想しながら日々悶々と過ごしておりました。

ただ。
実を言うと、グレコ の方は(恐らく)大分早い段階で同モデルがカタログ落ちしております。
アリプロ もやや粘った末にあえなくカタログ落ち(のはず)。

少なくとも私が 高校 3年になる頃までの間には 既にベースとなるコピーモデルは入手不可能となっており、同プロジェクトは早々に道を閉ざされておりました。
それを承知で妄想は継続して巡らしておりましたが・・・。
とりあえず 楽しいので。




そして、その後の経緯。

『エピフォン・カジノ』の記事の方にも書きましたが、次第に より “ 実用性 “ に重きを置く傾向となり、感心は カジノ の方に。
リッケン 325 に関しては、その印象深いルックスからしても「それ持ったら初期ビートルズを演るしかないじゃん。」という “ 潰しの効かない “ 機種という印象にシフト。
加えて、ショートスケールというあまり実用的でない(と思われる)仕様も含めると尚更・・・と言った感じで、急速に興味を失ってしまいました。


30年前くらいの時点で “ 本家 “ のリイシューモデルなどが雑誌で紹介されているのを見掛けても、「へ〜〜。」と思うくらい。
(どうせ買えないし・・・。)


また、同時期に 29,800円の 325タイプをよく楽器店で見掛けましたが、こちらも特に食指は動かずスルー。
(因みに、その廉価な 325タイプのテールピースは、ワイヤーをくるくるっと巻いた竪琴みたいなデザインのものでした。)
今なら きっと遊び半分で購入してちょっとイジってみようかな〜と思うんじゃないかと思います。
当時はそんな余力はなかったのと同時に、殊 ギターに関しては “ 実用的 “ なあれやこれやの入手を優先したいという事情もあったので。




そして、2014年(だったはず)。
たまたま楽器店で『Monogram』製の 325タイプを見掛けて、じわじわと『325熱』が再燃し出したという次第。




次回『その3/4』では、いよいよ実践に移ります。






『その3/4』に つづく。)




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