▼婚約破棄とは

 結婚前であっても、婚約成立後は、別れに伴い慰謝料が発生する場合があります。
 婚約成立後も当事者の一方的な通告で婚約は破棄出来ますが、正当な理由なく婚約を破棄した場合には慰謝料が発生します。
 このように、婚約破棄自体は当事者片方の申し出で簡単にできる一方で、慰謝料が発生するという状態は、結婚中と、単なる男女交際中との中間的な状態にあるといえます。

 

 

▼どのような場合に婚約成立と認められるのか

①結婚の意思が双方にあり、それが双方の親族や家族にも明示されたか

 具体的には、家族に「結婚相手」として紹介された事実があるかです。これは顔合わせの会や結納だけでなくとも、冠婚葬祭に家族同然で出席した場合も含まれます。ただ、単に彼女として出入りしていただけでは、頻繁に出入りしていたとしても婚約は認められません。
 また、結婚の意思があったことを裏付ける事実としては、いわゆる嫁入り道具といった家財を用意していたことや、新居を購入した、又は購入しようとしていたという事情があります。

 

②継続的な性交渉があったか

 性交渉を直接証明する証拠がない場合でも、男女交際していることが証明出来れば、なかったと考えられる特別な事情が無い限り認められるでしょう。

 

③未成年の場合は、親の同意を得ていたか

 未成年の婚姻には父母の同意が必要であるため(民法737条)、婚約成立にも未成年の場合や親の同意が要件とされるべきでしょう。


以上の基準から婚約成立が認められる場合、「正当な理由」無く婚約破棄すれば慰謝料が発生します。

 

 

▼どのような場合に婚約破棄が認められるのか

 これはほぼ離婚が認められる場合の「婚姻を継続しがたい重大な事由」の判断と重なりますが、離婚がそれまでの結婚生活の積み重ねを前提とするのに対して、婚約破棄はそれまでの生活の積み重なりが無いため、比較的離婚よりも認められやすいと言えます。

 

 具体的には、婚約成立後の不貞行為、暴力や暴言(当事者のみならず家族に対する者も含まれます)、経済的状態の急変等により、今後婚姻をすることが社会通念上困難な状態となることが認められれば、婚約を破棄する正当な理由があると認められます。
 また、離婚の場合に比べて事例が多いのが、性的不能が発覚したという理由があります。性的不能は通常結婚するまでにわかることから、婚約不履行の場合の方が問題になることが多い理由と言えます。

 

 

▼婚約破棄の賠償金額

 婚約破棄が不当とされた場合の慰謝料はどの程度になるのでしょうか。婚約破棄の場合は、慰謝料のみならず、結婚を前提に何らかの支出をしたり、退職をすることがあることから、慰謝料・実費・逸失利益が認められる場合があります。

具体的な事例はこちらの一覧を参考にしてください。(婚約破棄の判例