少しまったりとドイツ語について | Useless Monologue

Useless Monologue

小動物獣医師(フリッパー動物病院@神奈川県逗子市)による日々の雑感覚書。

最近、自宅のPCをiMac(27inch)に変えた。
学生の頃より、アンチマックだったのだがiPodの出現あたりから始まるジョブズの一連の戦略に脳内が侵食されつつあり、まずはパソ本体を一台使ってみることにした。また、どうにも金欠気味の今日この頃、細かい分割払いができるアップルストアは実は我々貧乏人の味方だったりする(しつこいようだが、獣医師で裕福なのは極一部だけ。大抵は結構ギリギリの生活を強いられていると思う…)。

使用感は極めて良好。以前、大学の研究室にあったハイエンドなマックの使用感しか知らないが、そんな時代と比較すると雲泥の差だ。ウィンドウズと違い、実に巧みに進化したものだと思う。マウスで右クリックができるところなんかはPCユーザーにとっては極めてありがたいし、マウス上で指をさらっと動かすだけでスクロール、ページ切り替え、横移動が出来てしまうのは何とも心地よい。
細かいカスタマイズはPCほどは自在には出来ないが、システムというか思考がシンプルなため、操作を体が拒否しないという印象。

一番関心したのは、キーボードの言語切り替えが必要ないことだ。たとえばPCの場合、ドイツ語専用の表記をするのに一旦タブでドイツ語に切り替えて、特別なキーを覚えて使用しなければならないのだが("ä","ö","ü","ß"それぞれに":",";","@","-"が対応しており実にややこしい…)、マックの場合、言語切り替えせずに"option"と"u"を同時押しした後に"a","o","u","s"を押すと、それぞれ"ä","ö","ü","ß"と表記される。言語の切り替えが必要なく、しかも元文字と同じキーで打てるという二つのメリットがある。もともとドイツ語キーボードに慣れた方はともかくとして日本人にとっては日本語、英語、ドイツ語を混在させて使用できるので使いやすいだろう。

おそらく、こんなキーボードの操作なんて昔から変わってはいないのだろうが、学生時代にドイツ語入力をするなんてことは無かったので知らなかった…。第二外国語は独語だったのですけどね…。当然ではあるが、教科書内容が幼稚園のテキストのようで簡単すぎてつまらなかったからちゃんと勉強した記憶が無い。今思えば、このとき馬鹿にせずに、教科書以外の教材を教授の部屋に持ち込んで勉強させてもらえば良かったと思う。

なぜ、ドイツ語にこだわるかというと、病院の自己紹介のページでも書いてあるがドイツで幼少期を過ごしており、最近ことあるごとに郷愁に駆られるからなのだ。ノスタルジックになるのは年を取った証拠なのだろう。しかし悪いことに同時に神経系も経年劣化しており、以前はリスニングできたドイツ語がどうにも聞き取れなくなっている。おそらく理解できる語彙も激減しているのだろう。そりゃそうだ、30年以上も使用していないんだからね(大学の講義を使用歴に含むと20年程だが)。ほぼ残像のような幼少期の言語記憶だけで生涯記憶できるわけはない。
現地の小学校で数年教育を受けている姉でさえ、ドイツ語など全く使えていない。今はアメリカの現地企業で設計士の修行をしているので、英語はアホみたいにリアルに使えるのだが、だからといって連動的にドイツ語を思い出す訳ではないらしい。英語-独語間でさえ、そんなに甘くはないのだ。日本語ばかり使用しているなら当然であろう。

で、ことあるごとにドイツ語の勉強をしようと試みている。時間もなくてなかなか進まないんだけどね。私のような帰国子女扱いを受けられなかった者、つまり幼稚園だけを現地で過ごして小学校教育できちんと言語的な勉強をしていない者にとっては一番やっかいなのが文法規則。とくに冠詞の性などは教えられた事が無いので頭で一から覚えるしかない。

冠詞の性って何か規則があるかというとそうでもなく、確かに男性は男性、女性は女性など分かりやすいものもあるが、えっ?と思うものもある。犬は男性、猫は女性というのは何となく分かる。しかし、太陽は女性、月は男性。これイメージ沸きません。面白いことにお隣のフランスでは太陽は男性、月は女性扱い。こっちの方が分かるなぁ。ドイツは寒いから月の方が厳格なイメージなのだろうか??
スプーンが男性、ナイフは中性、フォークが女性というのも何がなんだか…イメージなど沸くわけも無く、正直どれでもいいじゃんと思ってしまう。ということは、つまりセットで記憶するしかない。
語尾によってある程度は性が判断できるものもあるのだが、裏切られることもあるので、結局「定冠詞+名詞」で覚えるしかないのだろう。

実はこうした規則性の無さにドイツの子どもも苦労するようで、友達はよく親から注意を受けていた。子どもが間違った冠詞を付けると親はその都度それを指摘して直すという地道な行為がドイツ語の命脈を保っているんだから何だかすごいと思う。日本人の若いご両親も少しは見習って、きれいな日本語を伝えるようにしてもらいたいものだが、そもそもきれいな日本語なんて知らないんだろうな…。

最後にもうひとつ冠詞関係。実は同じドイツ語でも冠詞の付け方がまちまちな事がある。
ひとつは外来語などの新しい言葉。これは中性が多いのだが、他の語彙からの類推とか、他の言語からの引用であるとか、はたまたどれが発音的にしっくりくるとかの論争を経て、徐々に定着するようだ。最初は辞書によっても違うらしい。これは言葉の生成過程を見るようで実に興味深い。
最近では"E-Mail"(面白いことにそのまま英語で使用するようだ)が女性/中性、"Blog"が中性/男性などで使用されているようだ。
もうひとつは国によって違う事があるとのこと。例えばヨーグルト"Joghurt"だが、ドイツ国内では男性なのに、オーストリア、スイスでは中性らしい。オーストリア人が"das Joghurt"と言うと、ドイツ人はムズムズと耳慣れない感じがしてしまい気持ち悪いのだとか…。


なんだか、今日の午後は久しぶりにゆったりと時間が流れ、(つまりすごく暇ってこと…)、体と頭を休めながらのんびり"das Blog"を書かせていただきました。毎日こんな感じだと「しまった、何か失敗してしまったのか…」と焦りますが、半日くらいならのんびりさせていただくのもいいものです。


訂正(2010/11/19)
Macのドイツ語タイプに関して訂正させていただきます。"ß"はoption+uではなく、option+sで直接入力できます。まぁ、いずれにせよ余計な情報ではありますが…。