私は眠りから覚め、
そっと窓の外に目をやった。
ギラギラと鋭い光がまぶたに差し込む。
小さな窓の外には、
バイオレットブルーの雲海が一面にひろがっている。
どこまでも続く青空を
私はしばらくボーッと見下ろしていた。
そうだ、
ついにオレは来たんだ!
子供のころからここに来る事は分かっていた。
何度も何度も、夢に見てきたんだ。
憧れの大地が、
すぐ目の前にある。
昨日から、ずっと鼓動が早い。
よし、やるぞ!
日付変更線を越え、
時間が巻きもどされた。
出発した日の朝が、もう一度やってきた。
1999年5月30日、
サンノゼ空港に着いたのは、もうお昼前だった。
緊張のせいか、お腹がなっている。
入国審査に少し手間どった。
私は、多額のトラベラーズチェックを持っていたため、
審査官に理由を聞かれ、「これは、授業料だ。」と説明したが、
なかなかうまく英語が通じなかった。
ついには日本語が話せる審査官が出てきたので、
もう一度事情を話すと、やっと通してもらえた。
--- 日本語を話せる審査官がいるなんて、さすが、シリコンバレーだな...
ロビーに着くと、今日からお世話になるTさんが、
ウェルカムプレートを持って、もう待っていてくれた。
黒いサングラスの奥に笑顔がこぼれ、
白い歯が褐色の肌をより強調していた。
先輩パイロットでもあるTさんは、やけにカッコ良かった。
軽く挨拶を交わし、さっそくTさんの車に乗り込んだ。
ドミトリー(寮)で荷物をおろし、フライトスクールに向かった。
私は一刻も早くお目当てのセスナに乗りたかったが、
今日はドミトリー(寮)の仲間と一緒にサンタクルーズへ行く事になった。
ドミトリー仲間みんなで野球をするらしい・・・
訳も分からないまま、私はスクール仲間のM君の車に乗せられ、
サンタクルーズに連れ去られた。
白い砂浜、肌を刺すような日ざし、
カリフォルニアの涼しい風が、心地よく頬を撫でて行った。
わたしは、野球をやりながら思った。
『なんで、着いた初日からオレは浜辺でボールを追い掛けているんだよ?』
時差ボケで頭が割れるように痛かった。
『あ~っ、早くドミトリー帰って寝た~い (×.×)』
そして、延々と続いた野球もやっと終わり、
もうろうとした意識の中、車の中で見た景色は最高だった。
ちれーだにゃ~♪ ラリホーッ♪ ラッリホー♪
初めて見るカリフォルニアの夕日は、
日焼けでヒリヒリ痛む私の腕をより一層赤く染めていた。
PS: 次の日、私は全身筋肉痛になっていた。 うぅ~っ!
...つづく