「SEXレス」だった。
・・・・・というより、
「付き合った」
そのものが、なかったことのようになっていた。
ただ、
便利な、「ベビーシッター」として使われていた。
ボクが、「公務員じゃない」・・・・そうわかった時に・・・・バレた時に、・・・・バレたって、別に騙してないんだけどさ。
あらためて、「経歴」ってか・・・そういうのも言わされた。
・・・・・で、
ボクは、
地方の、
しがない「高卒」・・・・しかも、公務員でも何でもない、
市から、民間に業務譲渡された先の会社の社員。
年収は、公共から民間へで、だだ下がり。・・・・・正直、まともに「ひとり暮らし」すらできない、びんぼー会社員だった。
・・・・で、
麗華さんは、
「音楽大学」卒だった。
で、
在学中から、
いわゆる、
「読者モデル」
みたいなことをやっていて、今は、それが仕事になっていた。・・・・・で、そっから、発展していって、友達とか、知人とかの会社、店なんかを手伝ってるらしい。
「音楽大学」
麗華さんの一族は、
いわゆる「音楽家一族」ってやつで、
みんなが、音楽に、なんらかで携わった仕事をしてるらしい。・・・・・なんだか、ボクなんかとは、全く人種が違うって世界だった。
全く、
「つりあい」がとれない。
麗華さんが、
勝手に、
「公務員」だと誤解したため・・・・
「公務員」・・・・・生活が安定している一番の人種。
ってことから、
「つきあってもいい」
そう思ったらしかった。
「なーーーーんだ・・・・ふーーーん・・・・公務員じゃなかったんだぁ・・・・
ふーーーん・・・・なーーーんだ・・・・高校しか出てないんだぁ・・・・」
麗華さんの心の声が聞こえてきそうなほどの落胆ぶりだった。
SEXの最中。
ボクに跨り、
女王様として、
ボクを見下す。
・・・・それは、
どこか、
「PLAY」って要素があっての、
「見下す」だったけど、
麗華さんが、ボクを見下し、
ボクが、麗華さんに見下されることに「悦び」を感じる。
お互い、
「音楽大学卒」
「高卒」
このリアルな「格差」は、
見下して楽しめるってものじゃなかったらしい。
「こんなヤツとSEXしちゃったのかよ・・・・あーぁ・・・・一生の不覚だわ・・・・」
そんな、後悔の声が聞こえてきそうな表情だった。・・・・もちろん、顔には出さない。
「ベビーシッター」
バイトとしては使いたいんだろうからな。
・・・・・でも、
「SEXレス」
どころじゃなかった。
他人行儀。
キスはおろか、
ボクに、触れるってことすらなくなっていた。
モデル。
美しい麗華さんと「つきあう」
夢。幻の世界で終わってしまった。
・・・・アッサリと、奈落の底に堕とされた・・・・・