マズイな・・・・・
そう思ってた。
会社が民営化されて、
実質、給料が半分になった。
賃金カット自体は、3割とかだったけど、
公務員宿舎を退寮させられて、民間のマンションで一人暮らしを始めた。
そうすると、家賃が3倍くらいになっちゃったんだよな。
今まで、3万円ですんだ家賃が、8万円とかになっちゃって・・・・
それで、
一気に生活厳しくなったからな。
自炊でさ、
モヤシ炒めとか、そんなのばっか食ってた。
あとは、
カレーとか、
とにかく、大量に作って、毎日食べ続ける、みたいな。
もう、スーパーなんかで買い物できない。
100均ばっかだったよな。
「ひとり暮らし」って金かかるんだよね・・・
「家賃」だけじゃすまない。
電気代、
水道代、
ガス代、
あと、まったく考えてなかった「NHK」
寮の時は払わなくてよかったんだ。
「NHK」って、一軒一軒払うんだって、一人暮らしして初めて知った。
なんか、
そんなわかんない費用で、月に20,000円とかになっていく・・・・
とにかく、
「金がない」
それで、初めて、マジマジと給料明細見たんだけど、
なんか、
健康保険とか、年金とか、
あと、住民税、所得税・・・・
なんか、
莫大な金額が取られてるのな。
なんだよ、これって思った。
だから、
んとに、
「金がない」
ボクは、
田舎から、神奈川出てきて、
遊びに行ったことなかったんだよね。
あれだけ、都会に憧れてやってきたのに、
遊びに行ったことがない。
だって、高いじゃん?
どこかでコーヒー飲んで、なんか食べたりしたら、すぐに1,000円超えちゃう。
そんなとこ行けないよ。
夏だって、
エアコンとか、とにかく最小限にして・・・・
だから
図書館とかよく行ったよな。
用もないのに、
カバンもって、
さも、
なんか「調べもの」って感じで、
だってさ、
子供たちに見られたら、
あとは、お母さんたちに見られたら、マズイじゃん。
それで、ごまかせるよう、カバンもって、筆記用具出して、調べものしてる感じで、冷房に浸ってたなぁ・・・・
とにかく、
年中、金がない。
幸い、
米とか、味噌とか、
そんなものは、実家から送ってもらっていた。
助かったよな・・・・
それで、生き延びてたようなもんだよな・・・・
考えたのは、
将来の不安だよな。
・・・・・・ボクは、この先どうなっていくんだろう・・・・・
毎月、満足に生活もできない給料でさ、
給料、上がっていく見込みもないわけじゃん??
5年後・・・・給料変わらず、
10年後・・・・給料変わらず、
・・・・ええーーーーー、30歳になって、この給料なの???
・・・・ってことになるのかぁ・・・・
「年収300万円時代」
そんな本が出てたけど、
300万円もなかったよ。
そっか・・・・
ボクって、「底辺」なんだって思った。
・・・・でもさ、
どうにもできないじゃん。
どうすりゃいいんだよ。
・・・・いやぁ・・・
世間は、
「就職難」って言ってる。
「年越し派遣村」とかやってる。
若者のホームレスとかもいっぱいいる。
そこから考えたら、
正社員でいるだけでありがたいんじゃないか・・・・・
会社辞めて、
どっか他いけるのかな・・・・・???
いや、
給料が上がるって会社に就職できるのか・・???
毎晩、モヤシ炒め食べながら、
そんな堂々巡りをしてたな。
将来、
家買ったり、
車買ったりとか・・・・
・・・結婚とかできるの???
もちろん、
都会に出てきてから、彼女なんてできたことない。
・・・・考えてみれば、
人生で「彼女」ができたこともないんだよな・・・・・
ずーーーっと、虐められてたしな・・・・
幸か不幸か、童貞は卒業してたけど、
・・・・考えてみれば、早い時期に経験しといて良かったよな・・・
とにかく、
仕事場には、年上さんしかいなかったしな、
あとは、子供たちのお母さん。
若いって言っても、オイラよりは、随分年上ばっかりだったかな。
だから、
ずーーーっと、
女の人と付き合った経験「0」
それは、続いてたんだ。
「底辺」
「貧乏」
・・・・なんとかしなきゃ・・・・
でも、どうすればいい・・・??
そんな堂々巡りの生活が続いた。
気が付けば、ボクも20代の半ばを過ぎた。
・・・・・そんな時だったんだ。
彼女がやってきたのは、
うちに来るのは、
みんな、子供たちが自分でやってくるんだよね。
幼稚園終わったあと、
学校終わったあととか、
で、
夕方、
親御さんが迎えに来る。
歩き、
たいていは、自転車で、
パート終わりのお母さんが多かった。
・・・・そんな中でさ、
彼女は、車で息子さんを迎えにきたんだった。
ベンツに乗ってやってきたんだ。
ビックリしたさ。
ベンツにビックリ。
・・・・でも、
一番ビックリしたのは、
彼女の美しさだったんだ。