京香 と出会ったのは、3年生の時だ。同じクラスになった。
・・・・こんなことまで描く必要もないんだろうけど・・・
思い出しちまったからな・・・
なんか、人生、「懺悔録」みたいになりそうだけど・・・笑。
クラス替え・・・・3年生になってすぐだった。
京香が、窓の外を見ながらブツブツ言ってる。
「まっずいなぁ・・・・このまんまじゃ、身体売らなきゃなんないよ・・・」
って聞こえた・笑。
メッチャ、ぶっそーなこと言ってる。
ここは「田舎町」だよ・笑。
都会だったら、まだしも・・・ってか、都会でも「中学生」で、このセリフはないよな・笑。
「おいおい、ずいぶんぶっそーな話だな・笑」
って思わず声をかけたのが最初だった。
すぐに「ピン」ときた。
「同類」だって。同じ「種族」だって。
ガッコーからは浮き上がった存在だって・・・そんな匂いがした。
「浮き上がった」ってのは、ちょっと違うか・・・
「悪い」って意味だけじゃなかった。
「垢ぬけてる」ってか・・・
背が高くて・・・170cmくらいはあった。
すらぁ~~~っとしてて・・・
何とも言えない存在感があった。
「いくらいるんだよ?」
「1万円」
・・・・なんだ、1万円か・・・
っても、1万円っても、中学生・・・しかも、時代を考えるとけっこーな金額だ。
でも、「持ってた」笑。
まだ、お年玉の残りがあったしな。
で、「じゃあいいよ貸してやる」って話になった。
・・・ただし・・・今は持ってないから・・・そりゃ、ガッコーに、んな大金持ってくるはずがない。
ガッコー終わったら、あとで会おうぜって話に・・・
「いつ?どこで?」
京香が聞いて・・・
「じゃあ・・・11時。市の体育館で」
・・・ほとんど冗談半分で言った。
田舎の中学生だ。
夜の11時・・・田舎じゃ、「真夜中」だ。
そんな時間に出てこれるはずはない。
なんとなく・・・・ワルぶってってか・・・
「そんな度胸ある???」って意味で聞いた。
・・・ところが、
「うん、わかった」
って、ふたつ返事をされてしまった・笑。
こりゃあ、もう行くしかない・笑。
・・・で、夜11時に待ち合わせたんだ。
すぐに1万円を渡して・・・
そっから、いろんな話をしたよ。
京香も転校生だった。
・・・そっか、・・・・そこからくる「異邦人」って雰囲気だったんだな・・・
そっから見事に意気投合して・・・
この田舎の「閉鎖性」
とにかく、それにつきた・笑。
・・・・んで、オイラも、・・・・なんだろう・・・関を切ったように話し始めた。
都会での生活。・・・・「反社会勢力」の男の話・・・押入れに散弾銃、日本刀があったこと・・・
その全てに、京香は目を輝かせて話を聞いてくれた。
この「田舎町」じゃあ、オイラの話を誰も真剣に聞いてくれなかったんだ。
オイラは「嘘つき」ってレッテルを張られてたからな。
誰も、オイラの話なんか、ちゃんと聞いてくんない。
・・・・・で、「嘘つき」って虐められてく。
だから、オイラも何も喋らなくなった。
挙句には「鬱」になって チック症 まで患った。
・・・・でもさぁ・・・
オイラは「吐き出したかった」んだよね。
まだ、・・・この時、13歳とかか・・・
短いけど、「過酷」な半生をさ・・・・吐き出したかったんだよね・・・
それを、京香は聞いてくれた。
ちゃんと聞いてくれた。
・・・・そして、京香の半生をも聞いた。
京香の人生も同じようなもんだった。
オカンが「水商売」のヒトで・・・それで、一緒に住むには環境がよろしくないってことで、この田舎の親戚の家に居候していた。
この田舎町で、誰一人知り合い・・・・友達の居ない中で生きてたんだ。
境遇は同じだ。
・・・・・なんだろうな・・・
ホッとしたんだ。
話が合った。
京香も都会の出身だった。
ファミレスも
ケンタッキーも、
コンビニも
ここでは
「そんなのあるはずない!!」
「嘘つき!」
って言われたことが、全て、お互い理解できた。
田舎モンの中学生たちを、遠慮なくバカにできた。
「なんで、坊主頭なの???」
「なんで、おかっぱなの???」
「女の子のホッペ赤いよねぇ~~~~~~笑」
「ケンタッキーもマクドナルドも・・・ファミレスも・・・なーーーーにもなーーーい!!笑」
爆笑しあって、毒づきあった。
そっからは、常にふたりでいた。
クラスでも。
すんげー大騒ぎになったよ・笑。
なんたって
「坊主頭」と「オカッパ」の中学校だ。
男女交際なんか、全くない・笑。
男子と女子が、親し気に話すことすらないってな環境だ。
絵面的には「太平洋戦争中」って感じの田舎だ。
女の子はモンペみたいにズボン履いてるし・笑。
男の子が、古い映画で観たような「軍事教練」の児童みたいだしな・笑。
それが、常に オイラと京香 親し気にいるんだから、・・・・そりゃ「町は大騒ぎ」さ・笑。
すぐに、黒板とかに「相合傘」が描かれて・笑。
ガキもいいとこだろ???笑。
やってること・・・
こと、「男女交際」って世界じゃあ・・・・どーだろーな・・・感覚としては「小学校低学年」って感じだった。小学校3年生くらい・笑。
・・・・ってことは、6年くらい遅れてる。
・・・・じっさい、そんなもんだと思う。
6年後とかに、マクドナルドがやってきたからな・笑。
都会からの「流行り」みたいなのが、だいたい6年くらい遅れてたから・・・・少年少女の成長も6年くらい遅れてるんじゃない???笑。
それくらい遅れてるんだよな・笑。
まぁ、見た目も「坊主頭」のカツオ君。
「おかっぱ」のワカメちゃんだ・笑。
小学生に違いない・笑。
・・・・・で、オイラたちはって―と・・・
全く気にしなかった・笑。
オイラは「都会っ子」ってことで虐められてきたけど・・・今度は二人だ。
で、京香も、・・・・そんな「小学生攻撃」に凹むタイプじゃなかったんだよな。
「アンタたち・・・・子供ねぇ・・・・笑」
面と向かっては何も言わない・・・・つまりは、相手にしない。
目で「バカ」にしてる。
オイラも、京香も、もともと「異邦人」だ。
友達がいるわけじゃない。
だから、何を言われても、何をされても平気だったんだよな。
・・・・そして、オイラひとりとは違う「決定的」なことがあった。