雨がしとしとと降り続ける中、薄暗い街角のラーメン屋が一際明るく見える。店内からは温かいスープの香りが漂い、食欲をそそる。外のベンチには、傘も差さずにタバコをふかしている男が座っていた。
店内は賑わっているが、カウンター席の一角に一つだけ空席がある。男はタバコを最後まで吸い終えると、灰を落として店内に入った。雨で濡れたコートを脱ぎ、カウンターに腰を下ろす。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」と、店主がにこやかに声をかける。
「細麺のラーメンとチャーハンをお願いします」と男が答えると、店主は手際よく調理を始めた。
カウンター越しに見る店主の動きは、まるで舞のようだ。スープの煮えたぎる音と、炒め物の香ばしい香りが店内に充満する。男はしばし、その光景に見入っていた。
やがて、熱々のラーメンとチャーハンが目の前に置かれる。細麺のラーメンは、透き通ったスープにネギやチャーシューが美しく浮かんでいる。男は箸を取り、まずはラーメンを一口すする。細麺のしなやかな食感と、スープの深い味わいが口いっぱいに広がる。
続いてチャーハンを一口。パラッとしたご飯の食感と、程よい塩加減が絶妙だ。男は一口ごとに満足感を感じ、疲れた心と体が少しずつ癒されていくのを感じた。
外の雨音が静かに響く中、男はラーメンとチャーハンを堪能した。食べ終わる頃には、心も体もすっかり温まり、再び雨の中を歩き出す元気が湧いてきた。
「ごちそうさま」と一言残し、男は店を後にした。ベンチに戻り、再びタバコに火をつける。雨の中、温かい食事が与えてくれたささやかな幸福感を胸に、男はゆっくりと煙を吐き出した。