夏の午後、彼はイヤホンを耳に装着しながらバス停で待っていた。音楽が鼓膜を振動させ、周囲の雑音を遮断していた。手にはペットボトルが握られ、冷たい飲み物が喉を潤してくれる。

空を見上げると、青い空に白い雲がぽっかり浮かんでいる。その時、カメラを取り出し、何気なくその光景を撮影した。ふと気づくと、バス停の柱に小さな蜘蛛が巣を張っていた。蜘蛛の巣が太陽の光を受けてキラキラと輝いているのが目に入る。

「面白い被写体だ」と思い、彼はカメラを蜘蛛の巣に向けた。シャッターを切る瞬間、イヤホンから流れる音楽が心地よく、風が優しく頬を撫でた。

突然、セミの鳴き声が一斉に響き渡った。夏の風物詩とも言えるその音は、彼にとって懐かしさを感じさせるものだった。セミの鳴き声をバックに、彼はカメラをセミに向けてズームインし、その姿を写真に収めた。

バスが近づいてくる音が聞こえ、彼はカメラをしまい、ペットボトルの蓋を閉めた。バスのドアが開き、彼は乗り込んだ。バスの中で席に座り、カバンから赤ペンを取り出し、メモ帳に何かを書き込んだ。今日見たもの、感じたことを忘れないようにメモするのが彼の習慣だった。

イヤホンから流れる音楽に耳を傾けながら、バスの窓から外を眺めた。夏の陽射しが強く、道端にはセミの抜け殻がいくつも転がっていた。彼は微笑みながら、今日の一日を振り返り、写真とメモを見返すのを楽しみにしていた。

バスが次の停留所に到着し、彼はカメラとペットボトルを手に再び外の世界へと踏み出した。夏の風が彼を迎え、彼は次の瞬間を求めて歩き出した。