体育館の端から端まで飛んでいく紙飛行機を見たとき、
ボクは心の中でタイちゃんに叫んでいた。
「ほら、やっぱりタイちゃんの紙飛行機は誰にも負けないよ!」
小学校3年生のとき、
学校で飛行機飛ばし大会が開催された。
低学年の部(1~3年生)に出場したボクは、
幼稚園時代の親友タイちゃんから教えてもらった
特別な折り方の紙飛行機で挑んだ。
タイちゃんは、
小学校に上がると同時に引っ越してしまい、
会えなくなった友達だ。
でも、
タイちゃんはボクにとって特別な存在だった。
幼稚園の頃、
一緒に紙飛行機を折りながら、
「これ、すごく飛ぶんだよ!」
と嬉しそうに話してくれたタイちゃん。
その紙飛行機をボクに教えてくれたことが、
今でも宝物のような思い出だ。
だからこそ、
この大会に出場することには特別な意味があった。
タイちゃんの紙飛行機が、
一番遠くまで飛ぶことを証明したかった。
そして何より、
タイちゃんが教えてくれたものがどれだけ素晴らしいかを、
心の中で伝えたかったのだ。
大会当日、
体育館にはたくさんの低学年の児童が集まっていた。
全校生徒1,000人以上のマンモス校だから、
参加者も多い。
次々と紙飛行機が飛ばされる中、
ボクの番が回ってきた。
深呼吸して、
紙飛行機を持つ手に力を込める。
そして勢いよく投げた。
紙飛行機はスーッと宙を舞い、
体育館の端から端まで到達した。
誰もその距離を超えることはなかった。
優勝が決まった瞬間、
胸の中に誇らしさと感謝の気持ちが溢れた。
「タイちゃんは、やっぱり凄い!」
でも、
一番伝えたかった相手には、
もう会えなかった。
あの紙飛行機で優勝したことを、
タイちゃんに伝えたかった。
タイちゃんが教えてくれたおかげで、
ボクはこんなに誇らしい気持ちになれたのだと。
あなたには、
心の中で今でも尊敬している友達がいますか?
その友達に感謝を伝えたい瞬間があったなら、
どうかその気持ちを忘れないでください。
ボクは、
あの日の紙飛行機とタイちゃんとの思い出を、
これからもずっと心に抱き続けていこうと思う。

