毎年の運動会。
リレーのスタートラインに立つと、
胸がドキドキして息が詰まるようだった。
周りの声援が遠くに聞こえ、
ただ逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
名古屋で通っていた小学校では、
運動会が年に2度あった。
普通の運動会と、
地域対抗戦のような大運動会だ。
どちらの運動会でも、
ボクはリレーの選手に選ばれていた。
そもそも、
幼稚園から高校生まで、
毎年リレーの選手だった。
それが自分にとって当たり前だったから、
特別なこととは思わなかった。
自慢でもない。
むしろ、
イヤでイヤで仕方がなかった。
でも、
運動会の度に感じるのは、
周囲からの期待と、
それに応えなければならないというプレッシャーだった。
勝ってしまえば、
対戦相手を悲しませてしまう。
負けてしまえば、
より多くの人たちからボクが非難を浴びるかもしれない。
リレーでは、
できるだけ負けないようにしなければならない。
でも、一対一の競技では、
わざと負けることもあった。
目立つことが怖かったのだ。
リレーの選手に選ばれるのは、
スポーツテストの結果や、
他者の推薦だった。
断る勇気などなく、
名前を呼ばれた瞬間から、
秋の運動会が憂鬱なものになってしまった。
「無難に、ほどほどに生きていきたい」
そう思いながらも、
リレーのバトンを受け取り、
全力で走らなければならなかった。
いや、
走りながらも相手を抜かして良いのかどうかを
迷っていることもあった。
これで全力で走ったとはいえないだろう。
観客からの歓声が大きくなればなるほど、
ボクの心は縮こまっていった。
責任から逃げたかった。
目立つことを避けたかった。
だから、
リレーの選手に選ばれるたびに、
心の中で「どうしてボクが…」と呟いていた。
あなたは、
人前で目立つことに恐怖を感じたことがありますか?
そのとき、
どのように対処しましたか?
あの頃のボクは、
責任から逃げてばかりだった。
でも今は、
小さな一歩でも前に進むことを選びたいと思っている。
逃げ出したい気持ちがあっても、
少しずつその責任を受け入れていく。
それが、
自分を成長させるための第一歩だと信じている。

