小学校4年生になるタイミングで、
ボクは名古屋を離れることになった。
家族の事情で、岐阜へ引っ越すことになったのだ。
転校が決まったとき、
胸がざわついた。
新しい土地、
新しい学校。
ワクワクよりも、
今の友達と離れることのほうが怖かった。
そんなボクのために、
友達が「お別れ会」を開いてくれた。
みんなで遊んで、
色紙を書いてくれて、
最後には
「また遊ぼうな!」
と大きな声で送り出してくれた。
幼稚園の頃、
長崎から名古屋に引っ越したときは、
こんな経験はなかった。
だからこそ、ボクはすごく嬉しかった。
特に、
ヨコヤマくんとの思い出は忘れられない。
「一緒に映画、観に行かん?」
そんな誘いを受けたのは、
転校前のある日だった。
ヨコヤマくんとは、
学校では遊ぶけれど、
学校以外で一緒に過ごしたことはなかった。
だからこそ、
彼が映画に誘ってくれたことに驚いた。
もちろんOKした。
子どもだけで映画館に行くわけにはいかなかったので、
お互いの母親が同伴だった。
それでも、初めての経験なのでドキドキした。
観た映画は、
『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』
映画館で映画を観るのは、
ほとんど初めての経験だった。
暗闇の中、
スクリーンが光り、
ドラえもんの声が響く。
その瞬間、
ボクは物語の世界に吸い込まれるような感覚に陥った。
映画を観て、
一緒にご飯を食べて帰る。
ただそれだけのことなのに、
すごく楽しかった。
「いつも学校でしか話さなかったヨコヤマくんが、
ボクのために映画に誘ってくれた。」
それが、何よりも嬉しかった。
名古屋での生活は5年ほどだった。
でも、
ヨコヤマくんをはじめ、
たくさんの友達に恵まれた。
その思い出があるから、
今でもボクは名古屋のことが好きだ。
良い思い出がある場所は、
ずっと好きでいられるものだ。
そんな名古屋には、
約15年後にまた戻って来ることになる。
ある事情で。
これは、
いずれ社会人時代編で書いていきたい。

