転校先の小学校での
体育の授業やスポーツテストでの活躍がきっかけで、
ボクはスポーツ少年団に誘われた。
本当はサッカーをやりたかった。
でも、
その選択肢は最初から存在しなかった。
男子は野球、
女子はバレーボール。
それが当たり前の環境だった。
そうして、
小学校4年生のとき、
ボクは野球を始めることになった。
クラスは1学年1クラスしかなく、
野球部に入った男子は20人中16人。
つまり、
ほぼ全員がチームメイトということになる。
それまで転校生という立場だったボクにとって、
野球部に入ることは
クラスメイトとの距離を縮める大きなきっかけになった。
ただ、
それが嬉しかったかと言われると、
そうでもない。
土日祝は練習でほぼ休みなし。
それだけが嫌だったわけじゃない。
問題は、
スポーツという
「勝負事」
が絡む環境だったこと。
初めての場所、
初めてのチーム、
そして、「勝たなければならない」競技。
それらが重なって、
練習に行く日はいつも胃の奥が重くなるような気分だった。
試合ではほとんど走る機会がないのに、
練習ではひたすら走り込み。
「なんでこんなに走る必要があるんだ?」
と疑問に思いながらも、ボクは黙々とこなしていた。
もちろん、走る練習にも足腰を鍛える意味があるのだが、
その練習の意味すら理解していなかった。
それでも、
結果は出た。
ボクはすぐにレギュラーになり、
監督から
「サインなしで自由に盗塁していい」
と言われた。
だけど、
心の中は複雑だった。
「失敗したらどうしよう……」
「目立ちたくない」
それ以上に——
「走らなかったら、
監督に怒られるかもしれない」
ボクがプレッシャーを感じたのは、
盗塁の成功・失敗ではなかった。
「監督に怒られないこと」
これが最優先事項になっていた。
そのため、
練習でも試合でも、
深く考えずにプレイしていた。
感覚だけで動く。
とにかく、
怒られないことを最優先として。
それでも結果はついてきた。
チームにとって、
ボクは
「使える選手」
だった。
でも、
考えずにプレイを続けたことは、
思わぬ形でボクに影響を与えることになる。
小学校5年生の終わり頃。
その"代償"が、
身体に現れ始めた。

